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2019.12.02

国際キャリア学科

(授業紹介)「Current Business」⑥官公庁:農林水産省九州農政局の野村参事官、北原課長補佐による講義

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国際キャリア学科3年生を対象とする「Current Business」(担当:山口)は、世界とつながるビジネスや公務の第一線で活躍されてきた様々な業種の方を招き、実務の視点から日本の産業や企業経営、国際展開などについてご講義いただくオムニバス形式の授業です。
 
先日の講義には農林水産省九州農政局より野村地方参事官、北原課長補佐、高山事務官を講師にお迎えして、官民を挙げての輸出促進が奏功し、近年、拡大している農産物輸出の状況と農林水産省の取り組み、農林水産省と九州農政局の業務、求められる人材像についてご講義いただきました。

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IMG_9424.jpg前半では、野村参事官より「日本の農産物輸出の状況と輸出促進施策について」と題する講義をいただきました。初めに少子高齢化で日本国内の市場が縮小する一方で、世界的な日本食ブームの広がりとアジア諸国を中心とする人口増加や経済発展に伴う所得水準の向上により海外市場は今後、拡大が見込まれるという農産物市場を取り巻く潮流から説き起こしていただき、農産物の輸出拡大に取り組む意義について、①貿易バランスの改善、②日本食文化の海外への普及による対日理解の増進という「日本国民全体にとってのメリット」と、①新たな販路拡大と農家の所得の向上、②国内価格下落時のリスクの軽減、③輸出を通じた国内ブランド価値の向上、④経営に関する意識の改革、⑤地域経済の活性化という「産地・地域にとってのメリット」に分けて、例えば「輸出を通じた国内ブランド価値の向上」については大粒のためあまり評価されていなかった福岡産の苺のあまおうが香港で人気を博したことから国内でも注目されるようになり、ブランド価値を確立したなどの具体例をあげながら解説いただきました。

続いて、2018年には前年比12.4%増と顕著な伸びを示している農林水産物・食品の輸出の状況、九州各県からの主な輸出品目と輸出先について、①アジア諸国の消費者が訪日観光での経験から生卵を食べるようになったことが鶏卵の輸出拡大につながった、②アジア諸国で焼き芋がブームになっており、サツマイモの輸出が拡大している、他方で③韓国との関係悪化に伴い韓国向けのビールの輸出が急減したなど、学生たちがイメージしやすい具体例を豊富に交えながら解説いただきました。

IMG_9438.JPG農林水産省を中心とする農産物の輸出促進施策については、まずオールジャパンでの輸出促進の取り組みとして、「日本食品海外プロモーションセンター」(JFOODO)の活動についてご紹介いただきました。JFOODOはフランスの食文化からプロモーションを行い成功したフランス食品振興会(SOPEXA)を参考に設立されたもので、日本の食文化の普及と一体となった海外市場でのプロモーションを展開しています。野村参事官からは、①日本産シーフードは主たる競合相手をサーモンとしてマーケティングを行っている、②和牛の輸出拡大のためにしゃぶしゃぶとしての食べ方の定着を図っている、③米粉はグルテンフリーを打ち出し、パンやピザへの利用の促進を図っているなどの具体例をあげながらご説明いただきました。

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続いて、生産現場での輸出に関する情報不足を解消するための専門家による輸出診断・訪問診断、産地でのグローバル対応を確立するためのグローバル産地づくり推進事業、事業者間の連携促進のためのマッチング、海外の日本レストラン等を日本産食材の輸出拠点として活用する日本産食材サポーター店の展開(現在約4100店舗)などの取り組みについて、ご紹介いただきました。また、動植物検疫協議や原発事故による日本食品等の輸入規制の撤廃・緩和など、農産物・食品輸出拡大の環境整備のために行っている外国政府との交渉などについてもご説明いただきました。

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IMG_9430.JPG後半には、総務部総務課で人事を担当されている北原課長補佐より公務員の仕事や職種、農林水産省と九州農政局のビジョン・ステートメントや機構、業務についてご紹介いただいたうえで、求められる人材像として、現場に寄り添った農業政策を行うためには①コミュニケーション能力(受け答えが的確にできるか、指示が伝わるか)、②主体性、積極性(仕事を自ら吸収し、発信していけるか)、③発想力、創造力(アイデアを生み出し、具体化できるか)が求められ、行政担当者としては①協調性(組織人として周りの人と連携がとれるか)、②勤勉さ(複雑な制度を理解して、的確に事務を遂行できるか)、③論理的思考力(困難な課題に対して正しい結論にたどり着けるか)、④柔軟性(農林水産省の幅広い業務、フィールドですぐに馴染めるか)が求められるとご説明いただきました。講義の最後には今年、入省された地域連携課の高山事務官が登壇され、公務員を目指した動機や若手職員から見た仕事のやりがい、職場の様子などについてお話しいただきました。

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学生たちは豊富な具体例をあげながら分かりやすく、静かな情熱を込めて農産物の輸出促進をはじめとする農林水産行政について解説いただく講師の方々の講義に聴き入り、終了後には時間がオーバーするほど質問が相次ぎました。お忙しいなか、熊本から講義にいらしていただいた九州農政局の皆様、本当にありがとうございました。

なお、今年、国際キャリア学科からは初めて二人の4年生が国家公務員試験に合格し、来年度から法務省の外局である出入国在留管理庁に勤務します。この講義を聴いた3年生からも国家公務員を目指す学生が出ることが期待されます。

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以下は講義を聴講した学生の感想(代表)です。

H.Iさん(福岡県立香椎高等学校出身)

講義を通して本当に農業は私たち人間の基礎であり、とても重要な産業であることを改めて実感しました。今回、ご講義下さった講師の方々は皆様、誠実なお人柄がお言葉やご姿勢の一つ一つに現れていて、私もそのように第一印象で信頼される社会人なりたいと思いました。貴重な講義をいただき、ありがとうございました。

S.Iさん(九州産業大学付属九州産業高等学校出身)

今回の講義を聴いて、農林水産省が私たち市民の身近にあることに驚きました。私たちが海外のおいしい食品を安全に食べれたり、逆に海外で日本食を手に入れることができるのも農林水産省の方々のお働きがあってのことだと思いました。

Y.Kさん(福岡県立八幡南高等学校出身)

堅い、自分たちとは縁遠いお仕事と思っていましたが、今回の講義を聴いて、私たちの生活にとって不可欠な食に関わる様々な取り組みをされていることがわかり、イメージが変わりました。講義の最後に私たちにお年の近い社会人一年目の方からこのお仕事に求められる能力などを聞けて、とてもよかったと思います。

A.Kさん(福岡県立柏陵高等学校出身)

動植物検疫や国家間の交渉など少し難しいところもありましたが、学ぶことがとても多い講義でした。最後に入省1年目の方が緊張しながらお話しいただき、とても親近感が湧きました。

M.Hさん(神村学園高等部出身)

貿易や動植物検疫などの諸法令、国ごとの規制、国家間の交渉など複雑で幅広い分野をカバーしながら、人の生活に不可欠な食に密接に関係している農林水産省のお仕事は必要不可欠で、とてもやりがいのあるものであると感じました。高齢化が進む農家が今後、高齢化対策として求められるAI等の技術を使いこなせるようになるのかなど、関心が深まったことを今後、自分でも調べていこうと思います。

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A.Sさん(福岡県立糸島高等学校出身)

農林水産省のお仕事について詳しく学ぶことができました。食という私たちにとって身近なものを取り扱い、どうすれば地域とその経済が活性化するのか、どうすれば日本にとって利益になるかを考えるなど、とても重要な責務を担っておられることがわかりました。私も人の支えになるような仕事を目指して、就職活動に取り組んでいきたいと思います。

A.Sさん(福岡県立小郡高等学校出身)

地域資源を活かした農山漁村の振興・活性化への取り組み、なかでも農泊など観光的な要素を取り入れた振興策に特に強い関心を持ちました。地域活性化につながる仕事に関心があったので、農林水産省でこうした分野のお仕事に携わるという選択もあるのだと思いました。

A.Sさん(福岡県立直方高等学校出身)

私は将来の進路として公務員を視野に入れていますので、とても勉強になる講義でした。協調性、勤勉さ、論理的思考力、柔軟性など、北原課長補佐が公務員に求められる資質としてあげられた点は、どのような進路に進む際にも必要なものだと思います。今の自分に足りていない点を見直して、今後の就職活動、職業生活につなげていきたいです。

R.Tさん(福岡市立福岡女子高等学校出身)

日本と海外をつなぐ立場で働かれている方々から実際のお仕事のお話を聞き、とても勉強になりました。国家公務員の方から直接、お仕事のことを聞く機会はこれまであまりなかったので、貴重な時間でした。これからのカレント・ビジネスの講義もしっかりと受講し、多くのことを吸収していきたいです。

Y.Tさん(鹿児島県立鹿児島中央高等学校出身)

今まで詳しく知らなかった食品の貿易や海外市場開拓についてたくさんのことを学ぶことができました。とても貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

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