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2019.06.14

新任教員・池田拓朗講師(観光社会学分野)

 現代文化学科では、2019年度より池田拓朗講師(観光社会学分野)をお迎えし、主として観光文化分野の科目を担当しています。そこで今回は池田先生による自己紹介をお届けします。

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 4月より現代文化学科に着任しました池田拓朗です。博士課程卒業後、長崎県内の特別支援学校教員を経験した後、長崎県平戸市に所在する平戸観光協会に勤務していましたが、ご縁あって福岡女学院大学の一員となりました。

 長崎出身でもともと歴史が好きなこともあり、小さい頃からお墓参り等で訪れていた長崎寺町の景観形成と歴史に興味を持ち、そこから観光の問題を考えるようになりました。博士後期課程では宗教的聖地と観光の関係についてその研究の裾野を広げ、特に2018(平成30)年に世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の研究を現在に至るまで継続しています。
 
 私たちは旅行に出かける際、さまざまな情報を得てから旅行に出かけると思います。かつては旅行雑誌や旅行代理店を通じて得ていた情報は、今や携帯電話1つあればその場所の情報だけでなく、写真まで簡単に調べることができます。そのさまざまな情報のなかから目的地を決め、イメージを膨らませて観光に出かけるという経験は多くの人が行ったことがあるのではないでしょうか。このイメージというのが、観光地の「見どころ」を表すものとして機能しているのです。

 特に「世界遺産登録」がメディアで取り上げられると、多くの人が観光を連想するのではないかなと思います。「世界遺産」というワールドスタンダードな価値が付与されると、その場所に普遍的価値が与えられるだけでなく、各種メディアに取り上げられ、広く広報されていきます。本来であれば世界遺産は人類共通の遺産として後世に語り継がれ保存されていくべきものの称号ですが、それが観光の目玉となっていることもまた事実です。このように観光には「イメージ」というものが非常に重要です。私は潜伏キリシタン関連遺産を通して、本来「祈りの場」である宗教的聖地が観光資源として商品化されるようになると、地域がどのように変化していくのか、そこに問題性はないのかに関心があります。
 
 私が担当する授業は「観光文化論入門」、「観光文化論A(観光社会学)」、「観光文化論E(観光のまなざし)」などです。すべての授業で共通しているのは、観光に内在するメリット・デメリットの双方を分析できるようになることです。世界を変革する力の1つと言われるほど多くの影響力をもち、地域活性化などの起爆剤として期待される観光ですが、デメリットも存在します。そのために皆さんと一緒に考えていくのが「観光倫理」という視点です。観光を倫理的な側面から検討することによって、観光地となる場所が抱える問題点改善策を学生とともに考えていきたいと思います。
 
 福岡女学院大学の学生は真面目な学生が多く、大変熱心な印象をもっています。授業やゼミのなかでも、積極的に活動に取り組んでくれており、学生とともに何かを作り出していくことが楽しいです。特にゼミでは旅行パンフレット旅行商品づくりを通して、観光倫理に配慮した観光地のマネジメントの方策について実践のなかで考えています!アットホームな雰囲気のもと、楽しくも深く学んでいきましょう。どうぞよろしくお願いします。

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《 お気に入りの教会 田平天主堂(長崎県平戸市) 》
 
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 《 世界遺産に登録された平戸島の聖地と集落(春日集落)》
 世界遺産登録後、地域にはどのような変化がもたらされたのか考えてみましょう!