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2018.10.31

国際キャリア学科

(授業紹介)「Current Business」-繊維・ファッション産業:HITOYOSHI株式会社の竹長取締役工場長による講義

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国際キャリア学科3年生を対象とする「Current Business」(担当:山口)は、世界とつながるビジネスの第一線で活躍されてきた様々な業種の方を招き、実務の視点から日本の産業や企業経営、国際展開などについてご講義いただくオムニバス形式の授業です。

IMG_6566.JPG第1回目の鉄鋼産業に関する講義に続き、第2回目の講義には同じく高度経済成長期の日本の経済と産業を牽引した繊維産業の歩みと現状について、高品質のシャツの製造で知られるHITOYOSHI株式会社の竹長一幸取締役工場長をお招きして、ご講義いただきました。同社は2009年に大手シャツ・メーカーだったトミヤアパレルが経営破綻したことに伴い、吉國武代表取締役と竹長取締役工場長が企業再生ファンドの支援を受けて設立された企業で、高品質のシャツ造りが評価され、人吉発の世界的ブランドとして注目を集めています。

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講義では、同社の所在地である熊本県人吉市について故郷愛溢れるご紹介をいただいたのに続き、人件費等製造コストの上昇と最新流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を短い商品サイクルで大量に販売するユニクロやH&M、ZARA、GAP、GUなどに代表されるファストファッションの伸張などで、日本の繊維産業が生産量、企業数、従業員数とも縮小を続けきたこと、中国、ベトナム、インドネシア、最近ではバングラデシュ、カンボジア、ミャンマーなどからの低価格の製品の流入で、1988年頃には国内で販売されているシャツの半分を占めていた日本製品が2017年にはわずか2.4%にまで低下していることなど、日本の繊維・アパレル産業を取り巻く厳しい状況について解説いただきました。

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IMG_6557.JPGHITOYOSHI株式会社については、当初、100%OEM生産(*)からスタートしたものの、2011年の銀座阪急メンズ館開業時の共同企画商品に取り上げられたことを機に自社ブランドでの販売が増え、販売店との直接取引により中間マージンを省き、価格帯を抑えたことなどが奏功し、現在では年間約15万着のシャツを生産し、その売り上げの30%を自社ブランドでの販売、残る70%をビームスやシップス、ポールスミス、ユナイテッド・アローズなどセレクトショップ向けのOEM生産が占めていることをご説明いただくとともに、6年前に工場を訪問してから毎年、オーダーメイドのシャツを注文されている小泉進次郎衆議院議員など、同社のシャツを愛用している著名人についてもご紹介いただきました。
OEM(original equipment manufacturer)とは相手先ブランド名での生産

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IMG_6567.JPG続いて、あえて大量生産用の自動ミシンを廃棄し、手作業を重視するとともに、機能性を訴えるシャツが増えるなか、着心地を重視した100%綿の生地や貝ボタンなど自然素材にこだわる一方で、納期が短い、ロッドが小さい、仕様が複雑など、海外のメーカーが嫌がる仕事をあえて積極的に受注するなど、価格競争に対抗するために日本ならではのきめ細かいモノづくりに注力されている現状について解説いただきました。また、高齢化が進むなかでの人材の確保、若手の育成と技術の継承など、現在、抱えておられる経営課題、さらにはベトナム企業との協力体制についてもお話しいただきました。

今後の同社の目標については、旅行用トランクの工場からスタートしたルイ・ヴィトンやカバンの修理からスタートしたグッチなどの例をあげながら「世界に通用する一流のファクトリーブランドになることです」と語られました。

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講義後には、家庭でもできるシャツの上手なアイロンのかけ方を実演しながらご教示いただき、アパレル産業を目指している学生などがアイロンがけに挑戦しました。学生たちはソフトに、静かな情熱を込めて話される竹長先生の臨場感溢れる講義に真剣に耳を傾けていました。

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以下は講義を聴講した学生の感想(代表)です。

T.Eさん(福岡県立柏陵高等学校出身)

HITOYOSHI株式会社の竹長一幸取締役工場長のご講義を聴いて、手作業を重視するなど、流行しているファストファッションとは真逆の生産方法をとられ、地域愛もシャツの付加価値としてお客様の支持を受けられるなど、とても素敵な会社だと思いました。素材や着心地にこだわった同社のシャツはとてもおしゃれで、ぜひ着てみたいと思います。

N.Kさん(福岡県立香住丘高等学校出身)

ベトナムの協力工場との関係についてのお話もあり、とても興味深かったです。日本と海外でそれぞれ得意とする分野の違いを見極め、効率よく相互に利益の出る生産体制を組むのは簡単ではないと思いますが、とてもやりがいがある仕事だと魅力を感じました。貴重な講義をありがとうございました。

M.Iさん(鹿児島県立志布志高等学校出身)

竹長取締役工場長のご講義を聴いて最も驚いたことは、同社が一度、経営破綻した親会社の人吉工場を分離して、自らの力で再生されたということでした。また、人吉市に本社を置く同社がベトナムに協力工場を持ち、人的交流を行うなど、グローバルな事業展開を行われていることにも驚きました。これまで繊維・アパレル業界で働かれている方のお話を聴くことがなかったため、今回、貴重な講義を聴けて、本当によかったです。

H.Sさん(佐賀県立佐賀北高等学校出身)

竹長先生からは講義に続き、シャツのきれいなアイロンのかけ方も教えていただきました。ご自分のやりたいことをお仕事にされ、活き活きと働かれている姿がとても素敵に見えました。

A.Tさん(福岡県立福岡中央高等学校出身)

前回の鉄鋼産業に関する講義に続き、日本のものづくりや技術の素晴らしさを実感できる講義でした。講義の最後に竹長工場長はHITOYOSHI株式会社の目標として、ルイ・ヴィトンやグッチのような「世界に通用する一流のファクトリーブランドになること」をあげられました。人吉市から生まれた高級シャツ・ブランドの今後の発展がとても気になります。講義後に教わったシャツのアイロンのかけ方もとても勉強になりました。今後、父や自分のシャツにアイロンがけする際に実践してみようと思います。

H.Nさん(福岡県立春日高等学校出身)

竹長工場長はとても気さくな方で、繊維・アパレル産業について教えたいただいたほか、シャツのアイロンがけについても教わることができました。講義のなかで特に印象に残ったことは、商品にオリジナリティを持たせることの大切さでした。HITOYOSHI株式会社のようにオリジナルの強みやこだわりを持った企業は強いなと思いました。

H.Nさん(鳳凰高等学校-鹿児島-出身)

一度、経営破綻しながらも、そこから立ち上がって会社を立て直されたことについて講義の序盤に軽く触れられましたが、HITOYOSHIというブランドを確立されるまでには私たちの想像を超える困難があったことと思います。今回の講義を聴いてHITOYOSHIについてもっと知りたいと思いました。一度、同社のシャツも買ってみたいです。

M.Hさん(福岡県立武蔵台高等学校出身)

生産コストが低く、生産能力も大きな海外メーカーと競っていくためには、それとは違う良さや魅力を生み出し、伝えていくことが大切だと感じました。一度、経営破綻してから新たに企業を創設して再生されたことは本当に素晴らしいと思います。工場発のブランドを広げていきたいという竹長工場長の言葉がとても印象的でした。

N.Hさん(自由ヶ丘高等学校-福岡-出身)

とても楽しみながら繊維産業の今とこれからについて学ぶことができました。私たちが何気なく来ているドレスシャツにも多くの人の思いと技術が詰まっていることを改めて実感しました。

S.Hさん(大分県立大分舞鶴高等学校出身)

HITOYOSHIのシャツを着られていた竹長工場長と山口先生の印象がとても素敵であったように、シャツは出会う人に与える印象にも大きく影響していると感じました。こだわりぬかれた品質の良いシャツをきちんとアイロンをかけて身につけていると、その人自体の雰囲気をよくしてくれます。今回の講義では、繊維業界について学ぶとともに、HITOYOSHI株式会社のシャツの良さを知る良い機会となりました。今度、父にプレゼントする際には、同社のシャツをぜひ贈りたいと思います。

S.Fさん(佐賀県立神崎高等学校出身)

竹長工場長のシャツへの思いを講義やアイロンのかけ方を教えていただく際に強く感じ、私もHITOYOSHI株式会社さんのシャツを体験したいと思いました。

R.Kさん(宮崎県立妻高等学校出身)

竹長工場長の講義を聴いて、経営破綻などの危機を乗り越えて会社を再建し、妥協することなく上質なシャツを作り続け、しかも伝統から学び、現代の要求に応え、大量生産、大量消費ではない持続可能なものづくりの精神や技術を次の世代に継承するという理念を掲げられており、とても素敵な企業だと思いました。

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