3年次になると学生たちは“ゼミ”に所属し、指導教員のもと、ゼミの仲間たちと研究や学外活動に励むことになります。ゼミは大学の中で最も教員の個性が反映された場所と言えますが、そこでの取り組みはなかなか見えにくいものです。そこで『心理学科Today』では、心理学科の教員たちがゼミでどのような活動を行っているのかを紹介していきます。第7回となる今回は、佐野教授の3年次のゼミです。
また、3年の佐野ゼミでは、多くの作業をグループで行います。与えられた明確な課題を達成するには「協同」が必要です。この経験は、人と働くことの素晴らしさと難しさを知るための学びに通じると同時に、自分の特性を発見する収穫にもつながります。
ゼミ開始と同時に、私が独自に作った200ページ近い「佐野ゼミ テキスト」が配付されます。研究に必要な2年生までに学んだことの復習と、今後2年間のゼミ活動で獲得すべき知識がしっかりと書かれたものです。 まずは、心理学の論文を読む力を伸ばすことから始まります。研究に必要な基礎知識を復習しながら、段階を追って論文に取り組みます。
6月~7月
グループに分かれ、研究を開始します。まずは、研究テーマと仮説の設定です。研究してみたいと漠然と思っていたものを、どう具体化し、整理するか、学生達は試行錯誤を続けます。
研究に必要なデータの集め方を決めます。例年、質問紙法を選ぶグループが殆どです。自分たちの狙いにピッタリの尺度を過去の研究から探す場合も、独自の尺度を作る場合も、相当難しく時間のかかる作業です。そのため夏休み中には、10時~17時まで集中して勉強する特別集中指導日を複数日設定します。 10月~11月
授業、グループでの活動、ともにPCルームに移行します。まずは、集めたデータを入力ミスが無いように皆で慎重に入力したうえで、SPSSという統計ソフトを使って分析を行います。佐野ゼミではプログラムを書く方法を採用しており、分析方法やソフトをしっかりと理解する必要があります。学生達は互いに「励ましあい」ながら、パソコンに向かう時間を過ごすことになります。
12月~01月
最終段階を迎え、論文執筆に向かいます。心理学の論文は大きく4部構成になりますが、2つ(方法、結果)をグループで、残り(問題、考察)は個人で書きます。論文の執筆は初めての体験ですから、少し書いて指導を受け、その指導を参考に書き直し、次の部分も書き進めて、再び指導を受けることになります。
またこの時期は、4年生の佐野ゼミ生達が「卒業研究」完成に向かって追い込みを行っています。冬期休暇中も自主的に大学のノートPCを借り、教室でゼミを開いています。3年生は自由参加ですが、多数参加しています。
02月~03月
春休み、ゼミ生達はプライベートを多いに愉しむと同時に、次年度の卒業研究に向けて、研究テーマを考えます。大学での指導は原則としてありませんが、大学院進学を考えているゼミ生は、個人的に相談や指導を受けにやって来ます。
以上が、3年佐野ゼミの1年間です。4年ゼミ生に佐野ゼミの感想を聞いたところ、「考える力がついたことです。難しい問題はさっさと答えを見て学ぶという生き方をしてきた私にとっては、とても辛い事でもありました。」とある学生が回答しました。おそらく、現在の3年ゼミ生の多くが、今も、そして、これから半年間も「辛い」時期を過ごすのではないでしょうか。
4年生の他の回答には、「論文を読む力がついた」「日頃の小さな疑問に目を向け、考えられるようになった」「心理学が楽しいと思えるようになった」「自分を客観的に見て、今の課題に気づくことができるようになった」等がみられます。また、「学生のレベルに合わせ、分かるように指導してくださいます」という回答もありました。3年生では、「この課題はできるはずだ。」と自分を信じて、少々難しいと思っても挑戦し続けて欲しいものです。ゼミでの成長を愉しみに指導を続けています。
3年生の佐野ゼミでは、「判ったつもり」で「指示された」手順を追うのではなく、「実際に深く理解」し「自力で考え」研究を行うことのできる力を獲得することを目標とします。この力は、心理学のみではなく、社会で活躍するためにも必要なものです。「自転車に乗る」ことを考えてみてください。サドルにまたがり、バランスをとって、ペダルを踏めば自転車は進むはずです。ところが、この知識のみで「判ったつもり」になっても、実際には自転車に乗ることはできません。自転車に乗ろうとする試行錯誤を繰り返すことが必須です。3年次ゼミ生達は、私から試行錯誤せざるを得ない課題を提供され、時に応じてサポートを受けながら成長し続けます。
また、3年の佐野ゼミでは、多くの作業をグループで行います。与えられた明確な課題を達成するには「協同」が必要です。この経験は、人と働くことの素晴らしさと難しさを知るための学びに通じると同時に、自分の特性を発見する収穫にもつながります。
□■□佐野ゼミの1年間□■□
4月~5月ゼミ開始と同時に、私が独自に作った200ページ近い「佐野ゼミ テキスト」が配付されます。研究に必要な2年生までに学んだことの復習と、今後2年間のゼミ活動で獲得すべき知識がしっかりと書かれたものです。 まずは、心理学の論文を読む力を伸ばすことから始まります。研究に必要な基礎知識を復習しながら、段階を追って論文に取り組みます。
【指定された学術冊子を図書館で見つけて】
6月~7月
グループに分かれ、研究を開始します。まずは、研究テーマと仮説の設定です。研究してみたいと漠然と思っていたものを、どう具体化し、整理するか、学生達は試行錯誤を続けます。
【テーマを決める作業中】
8月~9月研究に必要なデータの集め方を決めます。例年、質問紙法を選ぶグループが殆どです。自分たちの狙いにピッタリの尺度を過去の研究から探す場合も、独自の尺度を作る場合も、相当難しく時間のかかる作業です。そのため夏休み中には、10時~17時まで集中して勉強する特別集中指導日を複数日設定します。 10月~11月
授業、グループでの活動、ともにPCルームに移行します。まずは、集めたデータを入力ミスが無いように皆で慎重に入力したうえで、SPSSという統計ソフトを使って分析を行います。佐野ゼミではプログラムを書く方法を採用しており、分析方法やソフトをしっかりと理解する必要があります。学生達は互いに「励ましあい」ながら、パソコンに向かう時間を過ごすことになります。
【PCルームで勉強中】
12月~01月
最終段階を迎え、論文執筆に向かいます。心理学の論文は大きく4部構成になりますが、2つ(方法、結果)をグループで、残り(問題、考察)は個人で書きます。論文の執筆は初めての体験ですから、少し書いて指導を受け、その指導を参考に書き直し、次の部分も書き進めて、再び指導を受けることになります。
またこの時期は、4年生の佐野ゼミ生達が「卒業研究」完成に向かって追い込みを行っています。冬期休暇中も自主的に大学のノートPCを借り、教室でゼミを開いています。3年生は自由参加ですが、多数参加しています。
【激励とお年玉のピザを先輩達と一緒に】
02月~03月
春休み、ゼミ生達はプライベートを多いに愉しむと同時に、次年度の卒業研究に向けて、研究テーマを考えます。大学での指導は原則としてありませんが、大学院進学を考えているゼミ生は、個人的に相談や指導を受けにやって来ます。
以上が、3年佐野ゼミの1年間です。4年ゼミ生に佐野ゼミの感想を聞いたところ、「考える力がついたことです。難しい問題はさっさと答えを見て学ぶという生き方をしてきた私にとっては、とても辛い事でもありました。」とある学生が回答しました。おそらく、現在の3年ゼミ生の多くが、今も、そして、これから半年間も「辛い」時期を過ごすのではないでしょうか。
4年生の他の回答には、「論文を読む力がついた」「日頃の小さな疑問に目を向け、考えられるようになった」「心理学が楽しいと思えるようになった」「自分を客観的に見て、今の課題に気づくことができるようになった」等がみられます。また、「学生のレベルに合わせ、分かるように指導してくださいます」という回答もありました。3年生では、「この課題はできるはずだ。」と自分を信じて、少々難しいと思っても挑戦し続けて欲しいものです。ゼミでの成長を愉しみに指導を続けています。