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2017.10.14

心理学科

臨床心理学を震災支援に活かす ~大学院生による報告~

 福岡女学院大学では、同大学院人文科学研究科臨床心理学専攻を中心に、東日本大震災のあった2011年から6年間支援を行ってきました。『心理学科Today』では2回にわたり、その取り組みについてご紹介いたします。今回は、同取り組みに参加した大学院生による報告です。
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 私が震災支援に参加した理由は、何事も自分の目で確かめたいといつも考えていることにありました。それでも参加する前は、「私が被災地の方々の助けになれるのか」「女学院で学び始めたSARTで、被災地の方々に何ができるのか」という不安はありました。
 しかしよそよそしい挨拶から始まった被災者との関係も、終わる頃には私のことを親族であるかのように、震災のこと、家族のこと、日常のこと等を心のままに話してくださいました。宮古まで来てくれたことに感謝されること、SARTで楽になったよと言われることが素直に嬉しく、自分も人の役に立てていると思えた瞬間でした。同時に、被災地の方々とSARTと通して“出会う”ことで、自分自身が癒された瞬間でもあり、なぜ自分が大学院に進学したのかという気持ちを整理する機会でもありました。
 実際に震災支援に参加し、被災地の方々と関わることで、6年間支援を継続してきた歴史の重みや人との出会いへの感謝、そして人のあたたかさを毎日実感し、何度も込み上げてくるものがありました。震災支援で感じたこの気持ちを胸に、これからも人との出会いを大切にしていきたいと考えています。
(O.N.さん)

 

 私は、「一緒に居続けられないからこそ、その場限りではなく、支援後も何かが被災者の心に残るような関わりをしたい」という考えから震災支援に臨みましたが、支援活動を通じて多くのことを学びました。
 その中で最も重要な学びは、「人は人でしか癒やせない」ということです。SARTによって身体が弛まると、心の緊張もほぐれ、心の内を外に出せるようになります。また、本人達が身体の硬さや癖を自覚することで、主体的に日常生活を改善しようという気持ちが芽生えることも分かりました。そして、日常生活の中のほんの一瞬でも気が休まる時間が被災者にとってどれだけ大きなものか、今ある状況の中で楽しみや希望を持つことが生きることにどれほど大切なものか、被災者から学ばせてもらいました。
 確かに、全ての人の痛みを理解することは難しいですが、少しでもその痛みを理解できるように、安心してもらえる理解者になれるようになりたいと考える機会となりました。
(T.R.さん)