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2017.10.31

国際キャリア学科

(授業紹介)「Current Business」:HITOYOSHI株式会社 竹長一幸取締役工場長による講義

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国際キャリア学科3年生を対象とする「Current Business」(担当:山口)は、世界とつながるビジネスの第一線で活躍されてきた様々な業種の方を招き、実務の視点から日本の産業や企業経営、国際展開などについてご講義いただくオムニバス形式の授業です。

IMG_3997.JPG第4回目の講義には高品質のシャツの製造で知られるHITOYOSHI株式会社の竹長一幸取締役工場長をお招きして、繊維・アパレル産業についてご講義いただきました。HITOYOSHI株式会社は2009年に大手シャツ・メーカーのトミヤアパレルが経営破綻したことに伴い、同社の吉國武代表取締役と竹長工場長が企業再生ファンドの支援を受けて設立された企業で、高品質のシャツ造りが評価され、地域発の世界的ブランドとして注目されています。

講義では、はじめに製造コストの上昇と最新流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を短い商品サイクルで大量に販売するユニクロやH&M、ZARA、GAPなどに代表されるファストファッションの伸張などで日本の繊維産業が生産量、企業数、従業員数とも縮小を続けきたこと、中国、ベトナム、インドネシア、最近ではバングラデシュ、カンボジア、ミャンマーなどからの低価格の製品の流入で、国内で流通するアパレルに占める国産品の比率が2009年には4.5%にまで低下しているなど、繊維産業を取り巻く厳しい状況について解説いただきました。
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HITOYOSHI株式会社のビジネスの現状については、当初、100%OEM生産(*)からスタートしたものの、2011年の銀座阪急メンズ館開業時の共同企画商品に取り上げられたことを機に自社ブランドでの販売が増え、販売店との直接取引により中間マージンを省き、価格帯を抑えたことなどが奏功し、現在では1日、約550枚のシャツを生産し、その売り上げの30%を自社ブランドでの販売、残る70%をビームスやシップス、ポールスミス、ユナイテッド・アローズなどのOEM生産が占めていることをご説明いただくとともに、小泉進次郎衆議院議員や俳優の藤原竜也さん,佐々木希さんなど、同社のシャツを愛用されている著名人についてもご紹介いただきました。

OEM(original equipment manufacturer)とは相手先ブランド名での生産

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IMG_3999.jpg続いて、それまで40工程で行っていたシャツ造りをあえて100工程に増やすなど手作業を重視し、100%綿の生地や貝ボタンなど自然素材にこだわる一方で、納期が短い、ロッドが小さい、仕様が複雑など海外のメーカーが嫌がる仕事をあえて受注するなど、価格競争に対抗するため日本ならではのきめ細かいモノづくりに注力されている現状について映像を見せながら解説いただき、人材の確保、若手の育成と技術の継承など、現在、抱えておられる経営課題についてもお話しいただきました。

今後の同社の目標については、旅行用トランクの工場からスタートしたルイ・ヴィトンやカバンの修理からスタートしたグッチなどの例をあげながら「世界に通用する一流のファクトリーブランドになることです」と語られました。講義の最後には美しいシャツの選び方、着方についてご説明いただくとともに、家庭でもできるシャツの上手なアイロンのかけ方を実演しながらご教示いただきました。学生たちは笑顔でソフトに、しかし情熱を込めてお話される竹長先生の講義に真剣に耳を傾け、活発に質問していました。

M.Iさん(福岡市立福翔高等学校出身)

HITOYOSHI株式会社については、前期のJapanese Industry(日本産業論)の講義で成功している地域のモノづくり企業の一つとして学んでいたので、どんな講義になるのかなと、とても楽しみにしていました。講義のなかで特に素晴らしいと感じた点は、HITOYOSHIの事業内容ももちろんですが、竹長先生の意思の強さとお人柄です。最後に同社の目標をおっしゃったときに、とても力強さを感じました。世界に進出していくという決心と地元を一緒に盛り上げていきたいという気持ちがとても伝わってきました。

M.Uさん(中村学園女子高等学校出身)

アパレル業界について詳しく学ぶことができ、大変ながらも様々な人々が支えあっている服作りの魅力について知ることができました。以前、何気なく見ていたテレビ番組でHITOYOSHI株式会社のことを知り、魅力のある会社だと思っていましたが、まさかその工場長さんから直接、お話を聴けるとは思っていませんでした。どれも興味が湧くお話でしたが、特にベトナム企業との連携や協力に強い関心を持ちました。

M.Kさん(福岡県立筑紫高等学校出身)

とても興味深い講義でした。特に、普段あまり目にすることのない、私たち消費者が商品を手に取るまでの製造・流通過程のお話を聴けたことが面白かったです。HITOYOSHI株式会社の商品を企画しているのは東京支店で、作っているのは人吉の工場とベトナムのホーチミンにある協力会社、販売している場所は阪急百貨店や岩田屋、BEAMS、ユナイテッド・アローズなど普段、よく見かけるお店だということを知って驚きました。私もいつかHITOYOSHIのシャツを買って着たいと思います。

M.Oさん(鹿児島県立加治木高等学校出身)

よく「企業が目指している方向性を見て、自分と照らし合わせて就職活動するように」と言われますが、HITOYOSHI株式会社のように経営者の方が具体的な夢を持たれていて、自分もその夢を叶えることに一生懸命になれる会社に就職したいと思いました。

A.Eさん(熊本学園大学附属高等学校出身)

日本の製造業には高い技術を有している企業も多いですが、竹長先生も同社の課題として指摘されていたように技術を持つ人がどんどん高齢化しています。製造業は人材不足にも悩まされています。これを解決するカギとなるのが私たち若者です。技術を継承する若者が増えていくことでMade in Japanのモノづくりの伝統を受け継いでいくことができると思います。

H.Tさん(福岡県立久留米高等学校出身)

倒産という辛い過去を乗り越えてHITOYOSHI株式会社を今日のような有名な企業に成長させた竹長先生の講義から、何事にも諦めず、自信を持って日々、努力することが成功への近道であると学びました。私も毎日、やるべきことを続け、努力していきたいです。

S.Sさん(福岡市立福岡西陵高等学校出身)

竹長先生は最後に目標は「世界に通用する一流のファクトリーブランド」だとおっしゃっていました。映像にもあった社員の方全員が高みを目指してドレスシャツを作り上げていく姿は素晴らしかったです。九州から世界へ、夢をぜひ実現していただきたいです。

H.Fさん(福岡県立光陵高等学校出身)

務めていた会社が倒産したにも関わらず、人吉工場と従業員の方々の技術を信じて、会社を再建するなんて素晴らしいと思いました。困難な状況でも諦めず、どうしたら解決するのか考え、積極的に行動に移す姿勢を見習いたいと思います。

K.Nさん(日向学院高等学校出身)

講義の最後に竹長先生からアイロンがけについても教えていただきました。とても丁寧で、きれいな仕上がりで、勉強になりました。私も実家に帰ったときに父のシャツのアイロンがけを頼まれることがありますが、これまではしわが伸びればいいというくらいの気持ちでかけていました。これからは日頃の感謝の気持ちを込めて丁寧にアイロンをかけたいと思います。そして、そのシャツを着る父がこのシャツなら頑張れるという気持ちになってくれたら嬉しいです。

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アイロンがけの実演:皆、真剣な表情で学んでいました
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