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2017.10.10

心理学科

臨床心理学を震災支援に活かす

 福岡女学院大学では、同大学院人文科学研究科臨床心理学専攻を中心に、東日本大震災のあった2011年から6年間支援を行ってきました。『心理学科Today』では2回にわたり、その取り組みについてご紹介いたします。今回は、同取り組みにおいて中心的役割を担ってきた奇教授による報告です。
 
 中心となる支援地域は、岩手県宮古市田老です。あれから6年が過ぎ、同地区もずいぶん景色が変わりました。
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【2011年8月 田老】          【2017年3月田老】
 
 人々の生活も変わりました。多くの方々が、仮設住宅から公営住宅や高台の集合住宅に移りました。そこには3度に渡る大きな環境の変化があります。一畳の上で二人が暮らしていた避難所から、4畳半の仮設住宅へ、そして今後定住するであろう住宅へ。津波によって離散したコミュニティは、5年ほどの年月をかけて仮設住宅内で再建されましたが、それも解体されることになります。定住する家があることはとても多くのことを解決してくれますが、新たな課題を内包していることも事実です。
 私たちはこの変化に対し、福岡女学院大学発祥の「主動型リラクセイション療法(サート)」という心理療法をもとに継続して支援を行ってきましたが、今、その支援にはとても大きな意味があったことを改めて実感させられています。
支援は被災者の方々との深い信頼と堅い絆を築き、築き上げられた信頼と絆は環境の大きな変化に適応する際の支えとなります。そのため私たちの活動は、被災者への支援だけではなく、今では過疎地域のネットワークづくりや、健康寿命増進の地域活動といった、新しい地域づくりの一助となるイベントとして、今なお宮古市社会福祉協議会を通して活用されています。
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【2011年8月】           【2017年3月】