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2017.10.17

国際キャリア学科

(授業紹介)「Current Business」:北九州国際技術協力協会の工藤参与(新日鐵住金株式会社出身)による講義

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国際キャリア学科3年生以上を対象とする「Current Business」(担当:山口)は、国際ビジネスの第一線で活躍されてきた様々な業種の方々を招き、実務の視点から日本の産業や企業経営、国際展開などについてご講義いただくオムニバス形式の授業です。

IMG_3811.JPG9月21日に開催した第一回の講義では、長年にわたり新日本製鐵(現在の新日鐵住金株式会社)で活躍されてきた工藤和也先生をお招きして、世界と日本の鉄鋼産業の発展と現状、課題についてご講義いただきました。工藤先生は1962年に新日本製鐵の前身である八幡製鐵に入社され、戸畑の最新鋭工場の建設・運営に携わるなど技術者、そして経営者として活躍されたほか、英国や中国、ロシア、イタリアなど様々な国の製鉄所での技術・経営指導にも携わってこられました。

講義では、まず最初に①安価(1g当たりの価格では木材やミネラルウォーターよりも安い)、②強い(チタンやアルミよりもはるかに強度範囲が幅広い)、③原料が豊富(地球上で最も多い金属元素)という「鉄の魅力」について豊富な実例をあげながらご紹介いただきました。

続いて、19世紀までの英国などの西欧諸国、20世紀以降の米国、1970年代以降の日本、そして2000年代以降の中国と世界の鉄鋼産業をリードする国が変遷してきたことを解説していただいたうえで、①カラチのスクラップ会社からスタートしたミタル(現在のアルセロール・ミタル)が中心となり、経営規模拡大による量的優位性の確保を目指し、世界規模での再編(鉄鋼メーカーの集約化)が急速に進んでいること、②1970年代以降、30年にわたってほぼ横ばいで推移してきた世界の粗鋼生産量が、2000年代以降、新興国、特に10年間で6億トンも粗鋼生産量を拡大するなど急成長を遂げた中国の鉄鋼産業の生産急増で大幅に増加してきていることなど、大きく変動する世界の鉄鋼産業の現状についてわかりやすくご説明いただきました。
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また、中国の鉄鋼産業は膨大な過剰設備と過剰人員を抱え、今後、市場の攪乱要因になりうること、急速な鉄鋼生産量の増加が中国における深刻な大気汚染の要因になっていることなど、世界の鉄鋼産業が抱える課題についても解説いただきました。

IMG_3825.JPG日本の鉄鋼産業についてはペリーの黒船来航による危機感から始まった幕府と薩摩、佐賀など雄藩による反射炉建設から説き起こしていただき、1901年の官営八幡製鉄所の完成、第二次世界大戦後の6社体制(八幡製鐵、富士製鐵、日本鋼管、神戸製鋼所、住友金属工業、川崎製鉄)による再建と拡大を経て、新日鐵住金、JFEスチール、神戸製鋼所の3社に高炉メーカーが集約されてきている現状などを説明いただきました。

そのうえで、電磁鋼板や鉄道レールなどハイグレード製品では他国の追随を許さない高度な技術を有している一方で、「こんなに良い品物が作れますから、買ってください」という作り手の論理から生産される傾向が強かったため、ローグレード(汎用鋼)やミドルグレードなどの市場では価格競争力を喪失し、シェアを失ってきたことなど、日本の鉄鋼産業が抱える課題についても解説いただきました。
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学生たちは国内、海外での豊富な実務経験に基づき、優しく、わかりやすく、しかも情熱をこめて解説される工藤先生の講義に聴き入っていました。

なお、この講義の司会進行は工藤先生が長く勤務された新日鐵住金株式会社から内定をいただいた4年生のM.Mさん(江戸川女子高等学校出身)が務めました。工藤先生はM.Mさんら現4年生を対象に昨年度も鉄鋼産業に関する講義をされており、「私の講義を聞いていただいた学生さんのなかから、私と同じ鉄鋼会社に就職する人が出たことをとてもうれしく思います。講義をしてよかったとの想いがこみ上げてきます」と話されていました。日本と世界の鉄鋼産業の発展に情熱を傾けられてきた工藤先生からバトンを引き継ぎ、M.Mさんが来年から日本経済を牽引する鉄鋼業界で活躍していくことが楽しみです。
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見事に司会進行を務めたM.Mさん(4年、新日鐵住金株式会社に内定)

N.Iさん(4年、福岡県立春日高等学校出身)

工藤先生の講義の中でも特に印象に残ったのは「こんなに良い品物が作れますから、ぜひ買ってください」といういわゆるプロダクト・アウトの考え方と市場が求めている商品を供給しようとするマーケット・インの考え方についてのお話でした。お客様が求められていることを把握し、その必要に応じた商品を提供することの重要性を学びました。就職後も常に心にとどめておきたいと思います。なお、同じ学科の同級生の友人が新日鐵住金株式会社という素晴らしい会社に内定をいただいたことを知り、非常に嬉しく思いました。私も就職先で活躍し、忙しくも楽しい人生にしていきたいと思います。

H.Nさん(3年、九州産業大学付属九州産業高等学校出身)

高い品質を追求する日本の製造業の考え方はとてもいいことではありますが、工藤先生が指摘されていたように鉄鋼でも適度な品質で安価な製品を求める海外のニーズにあわなくなってきており、国際市場で競争していくためには考えを変えていかなければならないと思いました。工藤先生の講義を聴いて、これまで注目したことがなかった鉄鋼業界に対する関心が深まりました。
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M.Iさん(3年、大分県立中津南高等学校出身)

鉄の素晴らしさ、日本の鉄鋼業の技術力の高さについてよく知ることができる講義でした。この講義を通して、工藤先生をはじめ情熱を持ってモノづくりに取り組んでこられた方々の活躍が現在の私たちの豊かな生活の基礎を築いてくれたのだと思いました。

Y.Iさん(3年、福岡県立筑紫高等学校出身)

世界と日本の鉄鋼業の発展と現状について詳しくお話を聴くことができて、とても充実した90分でした。特に鉄の魅力と鉄鋼業の発展の副産物である環境問題に関するお話に強い関心を持ちました。

H.Eさん(3年、佐賀県立小城高等学校出身)

工藤先生の講義を聴き、改めて日本のモノづくりは世界に誇れるものだと実感しました。工藤先生から鉄鋼業はこれからも伸び続ける産業だと伺い、これからの就職活動においても業界の将来性に注目しながら考えていきたいと思いました。

M.Nさん(3年、熊本県立玉名高等学校出身)

鉄鋼業の発展にその人生をかけて挑んでこられた工藤先生に感服しました。私も工藤先生のように熱い気持ちで仕事ができる職場で働きたいと強く思いました。

A.Fさん(3年、長崎県立上五島高等学校出身)

工藤先生が鉄鋼業のお仕事に対して愛情と情熱をたくさん注いでこられたことが、私たちに鉄鋼業の魅力を語られる際の表情やお声からもわかりました。夏に参加させていただいた国際ビジネス・フィールドワーク(*)でも実感しましたが、仕事を続け、モチベーションを高く持ち続けるにはその仕事自体を好きであることが必要不可欠なのだと思いました。そのためにも自分自身と向き合って、そのような仕事を見つけ、就職活動に活かしていきたいと思います。
http://www.fukujo.ac.jp/university/kokusai_c/archives/511

S.Oさん(3年、宮崎県立小林高等学校出身)

IMG_3817.JPGこれまで鉄鋼業についてあまり深く考えたことがなかったので、工藤先生のお話で初めて知ることが多く、非常に興味深い講義でした。この授業では様々な業界で活躍されてきた方々の貴重なお話を聴くことができるので、就職活動を来年に控えた私たちにとってとてもありがたいです。今後もしっかりと聴講し、学んでいきたいと思います。ありがとうございました。



「Current Business」の授業では、今年度、旅行業、ホテル、金融、製造業、輸入販売業、運輸業(航空)、電力、公的機関、報道機関などで活躍されている方々に講義をお願いします。西日本シティ銀行と提携した女性行員の方による講義やヤマハ発動機と提携した同社女性社員の方による講義(3回シリーズ)も開催します。「定評のある英語教育で英語力を総合的、かつスキル別に高めながら、専門科目については実務の視点を重視しながら集中的に学ぶ」、これが国際キャリア学科のカリキュラムの特色といえます。

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  * I Can Do:International Career Development