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2017.09.27

心理学科

朝倉市との地域連携事業 2017年度中間報告2

 2017年7月5日、福岡県朝倉市は記録的な豪雨となりました。あれから2ヶ月以上が経ち、朝倉市では現在も復旧と復興に向けた活動が行われています。改めて、朝倉市をはじめ被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 心理学科では、今年度も朝倉市との連携事業を進めてまいりました。『心理学科Today』では3回に渡って、学生たちが春から行ってきた取り組み、そして先の豪雨を受けて新たに始まった取り組みなどについてご紹介いたします(第1回はこちら)。第2回となる今回は、分部講師率いるグループの活動について、メンバーであるN.Y.さん(福岡県立筑前高校出身)に報告して頂きました。
 

企画内容

 『朝倉市の観光客を今以上に増やす』。このことを目標に、私たちは朝倉市と連携事業を行っています。今回私たちのグループが進める企画は『参加型あさぐらむ』。観光客が撮った写真をInstagramに上げてもらい、その写真を朝倉市の公式HPに連動させて掲載するというものです。実はこの企画、2つの大きな特長があります。

特長1:心理学を活かす

 一つ目は、私たちの専門である心理学を活かしている点です。自分の撮った写真が地方自治体の公式HPに掲載されたと想像してみてください。やはり嬉しくなり、他の人につい自慢してしまうのではないでしょうか?そして何となく、その自治体が好きになるのではないでしょうか?また自慢された側は、自分も写真を撮りに現地を訪れてみたくなるのではないでしょうか?このように、人には「他の人に自分の存在を認められたい」という思い(承認欲求)や、自分が関わった対象を好きになるという傾向(IKEA効果)があります。私たちの企画はこれらの心理に働きかけることで、金銭的な報酬に頼らずに、その地方自治体を好きになる人や訪れてくれる人を増やすものと考えています。

特長2:新しいPR方法の提案

 もう一つは、PR方法の新たなモデルになる点です。これまで県や市町村が観光PRを行う際には、自治体が観光客に対して一方的に観光地を案内する、単方向的なものでした。私たちの企画では、観光客が県や市町村を旅行しながら撮った写真が、その自治体のHPに掲載されることになります。そのため、観光客自身が「ここにはこんなに魅力的な観光地があるよ!」と、その地域の魅力を他の観光客や自治体に伝えることができます。自治体はその情報、その発見から新たな観光PRも行え、循環的な観光案内となります。また、通常の地方自治体のHPは、堅い雰囲気で、目で愉しめるとは言いにくいものです。私たちの企画では、観光客の撮影した写真が自治体のHPを彩ることになったり、観光客は自分の写真が掲載されたか確認するためにそのHPを訪れたりすることになります。このため、行政的な情報を伝達するだけであったHPを、地方自治体の彩り豊かな広告塔に変えることができます。このように私たちの企画は、地方自治体の新しいPR方法になると考えています。
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【定例ミーティングにて】
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【専門の方々へのプレゼンを前に】
 

連携事業から得た成長

 私は「参加型」を発案した一人として、この企画を成功させたいと強く思っていました。そのためには、マーケティングなどを専門とする社会人の方々や市役所の方に企画内容をプレゼンし、批判して頂く必要がありました。しかし、プレゼンの機会が今まで少なかったこともあり、最初は大変苦労しました。プレゼンがうまくないため企画の良さを伝えられず、本当に悔しい思いをしました。しかし、先生に何度も添削して頂いたり自分たちで良いプレゼンを調べたりし続けた結果、今では企画内容を一つのストーリーとして話せるようになり、自分でも成長したと感じています。
 また、企画を考える際のコツも学びました。企画について長い間考えていると、成功させたいという思いからか、根拠もなく自分たちが成功するような感覚に陥ることがありました。そのようなときは、「『参加型』が失敗した…さてその原因は何だったか?」と大喜利のように考えたり、「自分が観光客ならこの内容の『参加型』に参加したいと思うか」と観光客になったつもりで考えたりするようにしました。こうすることで今まで見落としていた点に気づくことができ、「参加型」を成功させるために必要なことが見えてくることも学びました。
 このように、私は朝倉市の連携事業を通じて本当に多くのことを学ぶことができたと思います。現在はこの学びを活かし、全員で復興支援に新たに取り組んでいます。成長する機会を提供して頂いている朝倉市のためにも、これからも全力を尽くしていきたいと思います。