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2017.09.12

メディア・コミュニケーション学科

授業紹介:音楽で過去をたどるラジオ風ワークショップ

今回ご紹介するのは、非常勤で夏の集中講義「マスカルチャー論」を担当してくださっている、目白大学の溝尻真也先生の授業です。ポピュラー音楽を題材にして、日常生活における大衆的なメディアの変化を考えます。数日にわたり終日行われる授業のしめくくりでは、学んだ内容を軸にワークショップ型の発表会を行いました。発表のテーマは、自分たちがすごしてきた20年間を音楽とともにふりかえるラジオ番組づくりです。ペアを組んでパーソナリティに扮し、15分間の公開生番組形式で表現します。

教室内に組まれたブース風の席にすわって、いざ放送開始。ほとんどの学生が音楽を流すのにポータブルプレイヤーではなくスマートフォンを使っており、さっそく時代の変化を感じました。事前に台本を練っているとはいえ、生放送は出たとこ勝負です。音量の調整したり、次の段取りを考えたりしながらのトークは大忙しのようでした。
 
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誰もが知っている曲が流れると、教室になつかしい雰囲気がただよいます。小学生だったころに流行っていた遊び、おばあちゃんの家で過ごした日の情景、兄の影響でよくみていたアニメの話、幼いながらに気に入っておねだりして買ってももらったカセットテープなどなど、音楽が喚起するさまざまな思い出話に花を咲かせていました。ときには選んだ曲に関する豆知識も披露され、どのペアも下調べの成果がよく出ていました。

同じ20年間を切り取っても、ドラマの主題歌や、ダンスに特色がある曲など、各組が独自に打ち出した特集テーマによって、さまざまな側面がみえてきます。日常的にラジオを愛聴している学生の発表では、リスナーからのお便りを紹介するコーナー(内容もラジオネームもフェイク!)がいかにもラジオ然としていて驚かされます。それぞれの生活のなかで音楽とメディアが多様に重なっているのだと痛感させられました。

特に目立っていたのは、ラジオドラマを仕上げてきたチームです。彼氏とケンカをした少女が不思議なおばあさんと出会い、過去を旅しながら思い出の音楽をたどって自分を見つめ直す、タイムトラベル物語でした。少女の経験をたどりながら、生きた時代は異なるおばあさんも音楽に心を動かされた青春時代をともになつかしむ筋立てもさることながら、役柄に合わせた声の出し方まで工夫して世界観を表現していました。

発表をきいている学生たちも、音楽が流れるたびにそっとハミングしたり、リズムにあわせて体を動かしたりと、それぞれの記憶とともに思い思いに番組を楽しんでいるようでした。学生たちとは世代の異なる編集担当の私も、ラジオドラマに出てきた不思議なおばあさんのように、自然となつかしい気持ちになりました。
 
(学科Today 編集担当)