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2017.08.05

メディア・コミュニケーション学科

授業紹介:「人生は想定外の連続である」――現役ラジオDJに習うトークの極意

「ワークショップC(アナウンス)」では、LOVE FMなどでDJをつとめるTOM Gさんをお招きした特別講義を行いました。ラジオ以外にも、スポーツのMCやテレビのナレーターなど多方面でご活躍されている方なので、ご存じの方も多いと思います。

授業が始まるやいなや、ホワイトボードに大きく「人生は想定外の連続である」と書いたTOMさん。文字通り想定外な事態にキョトンとする学生に「席替えをしよう!」とよびかけました。とりあえず学生同士で席をシャッフルすればいいのか……と思いきや、目があった学生に「僕と席をかわりましょう」との提案が。何のことやら分からない学生に、教壇の前にくるようにうながすと、TOMさん自身はスタスタと学生が座っていた席につきました。場所だけでなく、立場そのものを交換しようという提案だったのです。
 
人生は想定外の連続である
人生は想定外の連続である
 

教壇に立った学生は、TOMさんに質問を投げかけなければなりません。質疑応答が済むと、次の学生にバトンタッチ。最初はとまどいを隠せなかった学生たちも、どんな質問にも飾らずユーモアたっぷりに答えてくださるTOMさんとコミュニケーションを重ねるうちに、いつの間にか打ち解けていました。

それからお話いただいたTOMさんの人生も、アメリカ留学での体験から神戸でのDJ時代に至るまで、実に「想定外」のドラマに満ちていました。たとえば、福岡で開催されたテニスの大会でお仕事をしていたら、そこにいらっしゃっていた日本テニス協会の方が、TOMさんが学生時代に担当していたラジオ番組のリスナーだったと判明。そのご縁で、有明コロシアムで開催されるより大きなテニスの国際大会でのMCを一任されたそうです。このように「どんな場面でもひとつひとつ一生懸命にやっていれば、チャンスは転がっている」と学生に伝えてくださりました。どんなに難しい挑戦でもあきらめず、ドアを叩き続ければいつかは開くのだと信じて、前向きに行動することの大切さを教わりました。

その後は、各学生が「福岡」をテーマにした1分半のフリートークに挑みます。目の前にいない相手に話しかけるラジオのパーソナリティの状況を体感するために、受講生に背を向けた状態で一人ずつ話しました。課題を知らされたときには「いったい何をどう伝えたらいいのだろう」と緊張していた学生たちも、いざとなるとあたえられた時間をフル活用して、それぞれが思う「福岡」のことをしっかり話していました。

フリートークを終えた学生からは「自分の話が正しいのか自信をもてなかった」「相手が見えない状況だと、誰を意識して話せばよいのか分からなかった」といった率直な感想が寄せられ、ラジオでのトークがいかに難しいのかを痛感しました。そんな学生の声を受けて、TOMさんからは「ラジオは車の中のような一人きりの空間できくことも多いから、一対一の空気をつくれたらリスナーを惹きつけられる」とのアドバイスをいただきました。その際には、多くの学生が意識せずに使っていた「〜ですか?」といった語りかけの表現が重要だそうです。一方的に発信するのではなく、双方向のコミュニケーションを自然とつくろうとしていた点は、とてもよかったというコメントを頂戴して、学生からも笑顔がこぼれました。
 
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TOMさんの人生経験をうかがうだけでなく、いつもとは違う状況でしゃべる体験をして、学生たちは改めてことばの魅力や、伝える難しさとおもしろさを実感していました。学生にとっては今回の授業そのものが「想定外」だらけで、時折目を丸くする様が見受けられました。TOMさんの主なお仕事であるラジオの生放送は、ニュース速報が入ったり、プレイヤーの不調でCDが止まったり、ゲストが驚きの発言をしたりとさまざまなことが起こります。まさに「想定外」の連続なのです。しかし「想定外は想定内」であると心に留めておくことで、大抵のことは対応できると勇気づけてもらいました。予期せぬ事態から未来を導く希望について語ってくださったTOMさんを信じて、まずは興味があることにしっかりアンテナを張り、さまざまな状況をのりこえるための手段を増やしていきましょう!
 
TOM Gさん、お忙しいなか本当にありがとうございました。
(学科Today 編集担当)