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2017.08.31

メディア・コミュニケーション学科

授業紹介:学生が考案。メディア社会を考えるワークショップ

大学の授業というと、広い教室に多くの学生が集まり、教員の話にひたすら耳を傾けている様子が想像されます。もちろんそうした形式の授業は今も健在ですが、なかには学生が授業内容を考える側にまわって、主体的に運営していく科目もあります。

メディア・コミュニケーション学科の「メディア演習IB」も、そうした例のひとつです。この授業では、身体を動かしたりことばを交わしたりしながらメディアと社会の関係性を実践的に考えるためのワークショップを、学生が自ら考案して実施します。ワークショップが始まると、教員は最低限の助言をするのみ。テーマ設定や進行も学生が行い、当日に使う備品の準備も一任されています。
 
今回は、3名の学生が「『盛る』とは何か」というテーマのもとにワークショップを行いました。ここでいう「盛る」は、「ごはんを盛る」といった通常の行為ではなく、アプリなどで写真を加工することを指します。ファッションに敏感で、スマートフォンで頻繁に写真をやりとりする大学生ならではの関心だなと合点がいきました。
 

まずはプリクラに注目して、どんな機能が追加されてきたのか、世の中のニーズがどう変化したのかなどを、グループごとに話し合いました。初期のプリクラでは背景が選べる程度でしたが、現在はメイクアップ効果や小顔に見せるための加工や編集など、多くの機能が追加されています。こうした技術の変遷から、ワークショップ参加者たちは、写真を「盛る」ことは理想の自分に近づくため行為であると結論づけていました。

次に、「盛り方」をより深く考えるために、インスタントカメラを使った実践に挑戦します。プリクラや写真加工アプリをはじめ、ほとんどの「盛る」行為はデジタル技術によるものです。そこで、あえてデジタルに頼らず、自分たちの工夫による「盛る」方法を試し、このコミュニケーションの意味について改めて考えてみようというのがワークショップ全体のねらいでした。


 
インスタントカメラには慣れていない世代なので、まずは操作をあれこれ試します。そのうえで、どんな効果が表せるのかを班ごとに話しあいながら撮影に挑みました。個人ではなくグループで取り組むと、飛び出すアイディアの幅もぐんと広がります。まさに「三人寄れば文殊の知恵」です。関心の近い同級生が選んだテーマなだけに意見も出しやすく、互いに持っている知識や特技も活かしやすいのは、学生主体のワークショップならではのメリットだと感じました。

 
授業の終わりに、ワークショップを企画したグループに感想を聞いてみると「前もって細かい準備をしておくことが大事だと思いました」との反省が反射的にこぼれてきます。すると、それを耳にした教員からは「確かに事前の準備も大事だけれど、つくりこまないことが発想の柔軟さにつながる場合もある」とのアドバイスが返ってきました。実際に自分が前に出て伝える立場になると、ふだん授業を受けているだけでは気づかないことが、たくさん見えてくるはずです。
(学科Today 編集担当)