学科 Today

2017.07.14

メディア・コミュニケーション学科

授業紹介:15秒間のCMを制作する

カメラの撮影技法やPCを使用した動画編集を実践的に学ぶ「デザイン表現研究C(映像)」の授業をご紹介します。
 

メディア・コミュニケーション学科の学生が何やらまたおもしろいことに取り組んでいるとのウワサを聞きつけ、メディアデザインラボ(MDL)へお邪魔しました。緑豊かなキャンパスの雰囲気とうってかわって、この教室にはiMacがずらりと並んでいます。ほかにも電子ピアノや大型プリンターなど、多様な制作をサポートする機器が揃った部屋です。
 
今回は、15秒間のCMを制作する様子を取材しました。班ごとに分かれて、デジタル一眼レフカメラを用いて素材を撮影し、ふだんから見慣れているTVのCMをお手本に編集作業を進めます。

画面の前に顔を寄せあって、細やかな編集に取り組む学生たち。具体的にどんな作業をしているかたずねてみると、映像ではなく音声の編集をしている最中でした。撮影した動画には、その場で鳴っていたさまざまな音が一緒に記録されています。こうしたノイズをとりのぞくために、いったん動画から音をすべて取り除いて、あとから音声・音楽・効果音などを加えなければなりません。その上で、画面の動きと音をシンクロさせるために、ジャストなタイミングを狙って微調整をしているとのことでした。

また、ばらばらに撮影した動画をつなぎ合わせるには、場面が切りかわったときの違和感がないように、背景・人物の位置・画面の明るさなどの細部に配慮しなければなりません。実際につくる側にまわってみると、普段なにげなく目にしている映像にどれほど細やかな工夫がつまっているのか、改めて痛感させられます。

 
機材が充実のMDL教室
Premiereを使って動画編集作業中
 
授業で使用している動画編集ソフトはアドビの「Premiere」です。学生たちが器用にソフトを操作するをみて、普段からこのソフトを利用しているのか尋ねてまわったところ、ほとんどの学生が学科の授業ではじめて触れたとのことでした。基本的な操作は1年次の「デザイン基礎演習」で習い、この「デザイン表現研究C(映像)」ではより複雑な操作を動画編集をとおして手を動かしながら覚えたのだと何食わぬ顔で話していました。

実は、この授業ではソフトウェアの使い方に関する専門的で難解なテキストは使用していません。課題に取り組みんでいる最中につまづく場面があったら、グループ内で相談したり、教員に質問してヒントをもらって、さまざまな問題を解決しながらノウハウを学びます。

たとえば、動画に別の画像を重ねて、その画像だけを動かすには、どうしたらいいのか。学生同士で話しあいながら「試しにこの機能を使ってみよう」「いやそれだと動かないからこっちかな?」と知恵を持ち寄るも、うまくいかない。さまざまな手をつくしてから初めて「先生ー!」と手を挙げて教員に状況を説明し、また試行錯誤を繰り返します。

今回の作品は尺が15秒間と決まっているため、あるグループは指定時間内にピッタリおさまるように動画の長さを調節していました。撮影した動画からただ15秒間を切り取ればいいわけではありません。背景と人物の動きのバランスをとりつつ、一連の流れが違和感なく伝わるように整えるのは至難の業です。さらに、チョイスした音楽が画面上の動きとうまく重なるようにベストな15秒間を切り取る作業や、文字情報をどのタイミングでどのように見せると効果的なのか……などなど、各班でさまざまな演出方法が検討されていました。
 
『賭けたくなるおいしさ!』
『賭けたくなるおいしさ!』がキャッチコピーのお菓子のCM

授業の締めくくりには、仕上がったCMをスクリーンで上映して、お互いの作品を鑑賞します。何度も上映しながら、短い映像にちりばめられた細かい工夫を確認しました。各グループが自分たちの理想により近い映像を仕上げるために調整を重ねただけあって、いずれも繰り返しの上映にたえる作品でした。教員から細かい演出や効果についての講評をもらうと、各自の意図が伝わり苦労が報われたのか、にこやかな表情が多くみられました。

「好きこそものの上手なれ」というように、「こうしたい」という強い思いこそが技術の習得を後押しする……そんな気骨が伝わってくる授業風景でした。
(学科Today 編集担当)