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2017.02.14

心理学科

臨床心理士1種指定大学院合格者に対する入学前サポート

 本学は臨床心理士養成1種指定大学院を設けているため、臨床心理士有資格者の学科教員が多く(半数以上)、臨床心理学関連の教育が充実しています。大学院入試では「学内入試」という特別枠での受験も可能です。また、臨床心理学は、学部だけにはとどまらず、大学院での教育にも力が注がれており、2015年度の本学大学院生の臨床心理士合格率は100%でした(※)。このような特徴もあり、臨床心理士資格取得を目指して大学院進学を志し、今年も本学心理学科の多くの学生達が大学院入試に合格しました。
 
 大学院秋季入試に合格した学生達は、大学院入学まで半年間の時間があります。この間を有効に活用するため、本学科では連携している臨床現場に学生達を派遣し(臨床ボランテイア)、現場で活躍する臨床心理士の活動に触れる機会を積極的に提供するなど、大学院進学に向けたサポートを行っています。臨床現場で出会う子ども達や母親達と関わり、こころについて体験的に学ぶ中で、今春から臨床心理士を目指して大学院生になる学生達は何を学んだのでしょうか。今回は、大学院入学前サポートプログラムを体験した二人の学生にその学びを振り返ってもらいました。
(担当:重橋)
 
※2018年度からは心理学の国家資格“公認心理師”が誕生しますが、本学では第1種指定校の経験と実績を活かし、公認心理師にも対応した教育体制を現在整備しています。

大学院を目指して

 私は中学生の頃に出会った本から情緒障碍児や被虐待児の存在を知り、子どもたちが抱える愛着の問題や環境が与える影響について考えるようになりました。そして臨床心理士になって、対人関係に不安を抱える子ども、周囲の理解を得られずに二次的な障害を抱えることになった子どもたちの支援をしたいと考えるようになりました。また、日常で起こる友人間の不適応や何らかの事情があり学校に登校できない子どもたちにも援助を行いたいと考え、臨床現場での実習が充実している本学大学院に進学し、援助方法の技能を深く学ぶことを目指しました。

大学院入学前サポートプログラムに参加して

 私は将来福祉の領域で働きたいと考えています。大学院入学前サポートプログラムとして臨床現場を紹介して頂いた時、授業での学び以上に体験を通して成長ができるチャンスだと思い、参加しました。私が参加した臨床活動は、発達に偏りがある0歳から3歳の子どもを対象に、遊びを通してコミュニケーションの力をつけ、身体を動かす楽しさを共有するものです。子どもたちとの関わりは、大人同士による言葉での明確な意思疎通とは違い、表情や行動をよく観察して目線を合わせたコミュニケーションをとることが求められます。参加当初の私は、積極的に関わることが出来ず、大人から距離を取ろうとする子やお母さんから離れない子に対し、接し方が分からずに戸惑うことが何度もありました。しかし、臨床心理士や保育士など専門の先生方にアドバイスを頂き、保護者の方とお話する機会を持つうちに、少しずつこどもたちの普段の様子を知るようになりました。また、子どもが興味を示した遊びを繰り返すうち、次第に緊張が解けて近い距離で「その場を一緒に楽しむ」ことができるようになりました。これらの体験から、臨床現場で求められるのは知識だけではなく、相手を知ろうという姿勢とその場を感じる体験だと気付きことができました。現場の臨床心理士の先生方との関わりや子ども達との関わりは、頭ではなく体験を通して考える機会となり、自分を成長させる体験だったと感じています。

大学院で学び臨床心理士へ

 私はこれまで頭で考えるばかりで身体を動かすことが出来ませんでしたが、臨床現場で求められるのは、知識に加え相手への関心やその場で自分が感じたことを大事にする力だとプログラムを通して気づきました。これからの大学院生活でも体験から学ぶ大切さを忘れず、多くの人と関わる中で自分を高めていきたいと思います。
(Mさん 福岡県立春日高等学校出身)
 
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【プレイルームで制作中】
 

大学院を目指して

 私は、中学生の時に親子関係が変化することに興味を持ちました。自分について、人について、親子関係について知りたいと思い心理学に興味を持ちました。福岡女学院心理学科に入学し4年間心理学を学ぶ中で、さらに心理学に対する興味が増しました。そして、心理学についてもっと深く学び、将来は臨床心理士になりたいと考えるようになりました。本学の大学院(臨床心理専攻)は実習の機会が多く、また自分自身を見つめ自分を知るための授業や実習が組まれていることもあり、本学大学院進学を目指しました。

大学院入学前サポートプログラムに参加して

 このプログラムに参加して、実際に気になる子ども達とたくさん関わり、その子を育てているお母様方が抱える悩みを聞かせていただく中で、自分の知らなかった経験や発見、新たな疑問を得る機会になりました。大学入学前の私は臨床現場とは、1対1でカウンセリング行う場だけだと捉えていましたが、大学での学びやこのプログラムを通して、臨床心理士の支援は他領域であり、援助方法も様々であることを体験的に学ぶ機会にもなりました。気になる子達の中には、目線が合にくい子、名前を呼んでも反応があまりない子達がいます。はじめはこのような子たちと関わる時に、少しでも成長につながる関わり方がしたいと思いながらも関わりに難しさを感じていました。しかし、現場の臨床心理士や保育士の先生方の関わり方に触れ、アドバイスを受けながら半年以上関わる中で、それぞれの子ども達のペースや距離感を知り、見守りと適切なタイミングでの反応を行うことが出来るようになりました。また、現場の先生方と一緒に活動に必要な制作をさせていただくもあり、子どもに伝わりやすい形や刺激について学ぶこともできました。

大学院で学び臨床心理士へ

 大学院では今回サポートプログラムで体験した発達支援の他に、教育、医療、震災支援活動など様々な実習が経験できるため、自分自身を成長させるチャンスになることに期待が膨らんでいます。また、大学院では自分を見つめるための様々なプログラムが組まれているため、臨床心理士養成に必要な自分と向き合い自分を知る体験を大事にしていきたいと思います。
(Hさん 宮崎県立都城泉ヶ丘高等学校出身)
 
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【今月の活動で私達が制作した作品】