学科 Today

  1. HOME
  2. 学科 Today
  3. 国際キャリア学部
  4. 国際キャリア学科
  5. (授業紹介)Freshers Seminar:国際キャリア・地域研究分野

2017.02.07

国際キャリア学科

(授業紹介)Freshers Seminar:国際キャリア・地域研究分野

kc_hed3.gif

国際キャリア学科1年生を対象としたFreshers Seminarでは、南川(国際協力担当)、蘭・中島(異文化コミュニケーション担当)、山口(国際キャリア・地域研究担当)の4名の教員でローテーションを組んで、各分野に関する入門的な授業を行っています。
 
このうち国際キャリア・地域研究分野の後期の授業では、大規模テロ事件などで世界を揺るがせている「イスラーム国」(ISIS)をテーマに取り上げ、こうした組織が生まれてきた要因について、夏休み期間に各自が調べ、考えてきた結果に基づいて、グループごとに議論し、発表する授業を進めました。
 
IMG_2242.jpg「イスラーム国」が生まれてきた要因については、シリア内戦や2010年末のチュニジアでのジャスミン革命に始まり多くのアラブ諸国に波及した政治的変動「アラブの春」、そして2003年のイラク戦争とその後の米国による占領統治の混乱など直近の要因に求める意見から、第二次世界大戦後の米国の石油戦略など中東地域への大国の介入に求める意見、第一次世界大戦後のオスマン帝国のアラブ領土の分割など英仏主導の戦後処理に求める意見、19世紀以降の欧州列強による植民地化に抗する動きの中で広がったイスラーム主義運動が体制側の抑圧によって一部、過激化したことに求める意見、さらには7世紀のイスラーム成立期以降、続くスンナ派とシーア派の対立に求める意見など、多くの意見が出されました。発表では、例えばスリランカからの留学生がいるグループは同国でタミル人の独立国家建設を目指した勢力「タミル・イーラム解放の虎」の戦術と比較するなど、各グループとも関連する様々なことを深く調べて発表していました。

IMG_2048.jpg
 
議論を通じて、各グループとも「世界で何が起きているのか知ろうとすること、そして自分たちには何ができるのか考えていくことが大切である」「自分たちが平和な環境にいることに感謝し、シリアの民衆の現状を伝え続け、イスラーム国に殺害されたジャーナリストの後藤健二さんなどの遺志を無駄にしないように努める必要がある」「異なる文化や宗教に対する寛容が大切である」「様々な紛争や事件はただ突発的に起こるのではなく、そこにはそれを生んだ背景や要因があり、さらにその出来事が新たな問題の引き金になることもある。問題を風化させないためには努力が必要である」といった考えに集約していきました。学生たちは必ずしも「正解」がないことについて考え、議論することを学んだようです。

IMG_2045.jpg
IMG_1572.jpgIMG_2252.jpgIMG_2253.jpgIMG_1571.jpg
学生たちの議論と発表の様子
中東 257.jpg中東 078.jpg
左はベイルート(レバノン)、右はカイロ(エジプト)のモスク
kc_fut.gif