学科 Today

  1. HOME
  2. 学科 Today
  3. 短期大学部
  4. 短期大学部英語科
  5. ​交換留学報告②:テネシー大学

2016.10.17

短期大学部英語科

​交換留学報告②:テネシー大学

テネシー 交換留学(M.E.さんの報告)

「テネシーって何があるんですか?」
出発直前、グランドスタッフさんに聞かれた内容です。正直、私もいろんなことを調べたのですが、その人の質問にうまく答えることができませんでした。
日付や時差がこんなに違う国へ行くのは初めてで、最初はなれませんでした。学校のバンがお迎えに来ていたのですが、他に一緒に学校まで行く学生さんを待つために、3時間、メンフィス空港で待つことになりました。3時間経って、メンフィスからマーティンへ移動。2時間の移動後、ホストの先生と会って、そのままホームステイ先へ向かいました。

私のホストのライアン先生は、テネシー大学マーティン校の持つ語学プログラム(TIEP)の先生でした。先生は一人暮らしですが、近くの街のジャクソンというところに、ご家族と可愛い甥っ子さんと姪っ子さんがいらっしゃいます。

tan_20161017_01.jpg

tan_20161017_02.jpg

メキシコに長く留学していたこともあり、とてもスペイン語が堪能な先生で、お得意のメキシコ料理もごちそうになりました。2週間、外出して、ディナーを食べに行ったり、先生のよく行く教会の友達やその子供たちとお話をしたり、映画に行ったり、たまにジャクソンまで行くこともありました。道中、学校のことや先生のこと、私の友達や日本のことについてたくさん話すことができて、忙しくも楽しい毎日を送っていました。

ホームステイ中、一番行った場所は、ライアン先生のよく行く教会です。小さな教会ですが、老若男女みんな元気で、活気にあふれた教会でした。初めて行ったときは日曜礼拝だったのですが、歌が始まった瞬間、そのソウルフルな歌声に圧倒されました。私の近所の教会とは全く違う力強さに、その教会を好きになるまでに時間はかかりませんでした。その週の水曜と翌週の水曜にも、教会に行かせていただく機会がありました。3回目に行ったときは、ちょうど歌を歌う日で、リクエストを自由に言って歌うという日でした。その中で、子供向けの教会学校で歌われるオリジナルの曲を牧師さんが弾いて、子供たちがミュージカルのように踊りながら歌って、大人たちが微笑んで、時には歌を口ずさんで見ているのがなんとも微笑ましく、忘れられない時間になっています。

tan_20161017_03.jpg

学校の近くにはレストランが多く存在し、中華、メキシカン、ファストフード、ピザなどいろんな食べ物が楽しめます。旅先では、現地の料理を食べることが好きな私は、メキシカン、南米名物の料理、BBQ、日本料理を食べました。その中で特に印象に残っているのはビスケット&グレイビーとオクラをとうもろこしの粉末で揚げたものです。どちらも南米の料理で、意外な組み合わせがとてもおいしく、また食べたいと思っています。

向こうに行って特に驚いたこと、それは、人のやさしさです。学校の扉でも、開けた人が、次入ってくる人のために扉を手で押さえて開け続ける。大きい荷物を抱えている人がいれば、その人のために近くの人が席を立って扉を開けてあげる。それは大学の生徒だけでなく、語学学校の他国から来た生徒たちも同様にしていました。「ここはなにもないけれど、人の優しさがある」ライアン先生が言っていた言葉を思い出しました。店員さんもとても気さくな人が多く、お会計のときには必ず何かをしゃべっていた印象があります。

お別れの日には、アルバムや手紙をもらって、毎日一緒だったホストの先生と別れるときは涙涙でした。「ここはあなたのお家だから」と何度もおっしゃってくれたこと、たくさん素敵な思い出を作れたこと、感謝でいっぱいでした。本当にまた必ず行きたいと思える場所になりました。行きにであったグランドスタッフさんに今は、「田舎だからこそ、素敵なところです」と胸を張って伝えられます。

最終日、メンフィスにある市民権博物館にも行かせていただきました。私が勉強のためにと熱望していたこともあり、スケジュールの中に組み込んでいただけたことに本当に感謝しています。

キング牧師が亡くなったホテルの中をそのまま変えて、奴隷、差別の歴史、キング牧師の行動等の展示になっていました。本展示に入ってまず飛び込んでくるのは、奴隷時代。奴隷船の模型もあり、そこに行くと生々しい鞭の音、泣き声、叫び声、咳込む声が聞こえてきます。

奥に進むとバスのボイコットや、デモの写真、レストランのカウンターの後ろには、白人のみの席に黒人が座り、周りから暴行を受けたり、罵声を浴びせられる映像が流れていました。デモなどで捕まった人たちの写真や持ち物が並べられているのも印象的でした。

tan_20161017_04.jpg「I AM A MAN」の行進の像を通りすぎると、キング牧師の「I Have a Dream」のスピーチの映像が流れる場所になりました。すべての展示を目にしてここへくると、胸に迫るものがあり、涙が出そうになったのをはっきりと覚えています。しかし、この展示を抜けると、あの306号室が待っているのです。

部屋は当時のまま残されており、煙草が残る灰皿と少し開けられた牛乳が寂しく残っていました。バルコニーからは向かいの部屋のカーテンの少し開いた窓が見え、恐怖を感じずにはいられませんでした。その展示を抜ければ、キング牧師が亡くなったことをすべてのメディアが報じたという朝がやってきました。「彼がいなくなっても、彼の行動は消せない」と言われた言葉通りの写真や、著名人の言葉に、胸を打たれました。

市民権博物館を出て数時間は、衝撃に言葉を失っていました。すべてが現実で、実際にアメリカで起こったことだと、胸に深く刺さっていきました。今でも博物館の展示内容が忘れられません。ここに行かせていただけて本当によかったと思っています。そして、勉強に役立てて、その差別の歴史に決して目を背けてはならないと、考え続けていかなければならないと深く感じました。