学科 Today

  1. HOME
  2. 学科 Today
  3. 人間関係学部
  4. 心理学科
  5. 授業紹介~『心理学実験』~

2016.10.07

心理学科

授業紹介~『心理学実験』~

 心理学科では、学部2年生以上を対象とした『心理学実験』という演習科目が準備されています。この科目では、学生が自ら実験を行い、そして受けることで、心理学の実験のやり方とレポートの書き方を学びます。
 
 一例を挙げましょう。下の図形で、“<>”または“><”に囲まれた中央の赤い水平線を比べると、どちらが長いでしょうか?おそらく、“><で囲まれた下の方が長い”と感じられるでしょう。しかし実際は、上下同じ長さです。これは“ミュラーリヤー錯視”と呼ばれる現象で、足を長く見せるための工夫として衣類などにも応用されています。
 
s_today161007N1.png

 では、なぜ下の方が長く見えるのでしょうか?『心理学実験』では、この原因を明らかにするために、“<>”や“><”の長さを変えながら、“どれほど下の図形の方が長く見えるか”を計測します。もし”><”の角度が重要であれば、角度を変えることで長く見える程度が変わるはずです。実際に実験を行ってこの予測を調べることで、世界の見え方を変えている原因を特定するわけです。その作業は、“データに基づいて原因を解き明かす”という科学的な考え方を学ぶことに他なりません。
 一見すると難しいように思えるかもしれませんが、『心理学実験』を受講されたF.N.さん(九州国際大学付属高等学校出身)の感想を見ると、学生たちもしっかりと学んでくれているようです。感想を寄せてくれたF.N.さん、ありがとうございました!!
(担当:分部)
 
s_today161007N2.png

学生の感想

 私が『心理学実験』を通して学んだことは、二つあります。
 一つは、差や変化そのものよりも、その差や変化が起きた原因を考えることがより重要であり、難しくもあるということです。実験の結果を見ていくと、数値が大きく変化していることがあります。変化したということは、何らかの影響を受けたと考えることができますが、その原因を考えるためには様々な情報に目を配る必要があります。例えば、数値が上昇しているなかで、際立って大きく上昇した場合と小さくても減少した場合では、意味が異なります。そのような見逃しがちな情報にも着目し、他とは何が違ったのか、その原因が何であったのかを検証する必要があることを学びました。
 もう一つは、実験というものの理解です。授業では、実験の結果が日常に関わるとすればどのような場合かまで考えることが求められました。それまでは、実験とは日常と離れたところにあるもので、通じるものはないと思っており、また、レポートを書く際も結果をまとめるだけで終わっていました。しかし、そのような課題を通じて実験の結果を身近なものに置き換えて考えるうちに、実験が日常場面を代表しているものであることが見えるようになり、実験内容も理解しやすくなりました。より深く理解出来るようになったことで、レポートとしてまとめる際も自分なりの新しい見解もできるようになり、余裕が生まれました。
 これからの講義やレポートにも以上のことを活用しながら学習していけるよう努力していこうと思います。
(F.N.さん:九州国際大学付属高等学校出身)