上記の2つの同心円のうち、中央の円(塗りつぶされている円)が大きいのはどちらでしょうか?おそらく多くの人が「右側」とお答えになるかと思います。しかし実際には、中央の円の大きさは全く同じです。同じ大きさであっても、外側の円との対比によって、左側は小さく見えてしまうわけです。これを「デルブーフ錯視」と言います。
このように、私たちは必ずしも自分を取り巻く世界を正しく認識できているわけではありません。では私たちは、どのように世界を見て、覚えて、考えているのでしょうか?そしてどのように誤ってしまうのでしょうか?私たちの認識にはどのような「癖」があるのでしょうか?これらの問題について学び、体験する授業が『認知心理学』です。
この説明では、認知心理学の重要性や面白さは分かりにくいかもしれません。しかし、実は認知心理学は私たちの日常生活にも深く関わっています。上記のデルブーフ錯視であれば、ヒトがものを見る仕組みを教えてくれるだけではなく、「どのようなアイラインを引くと目が大きく見えるか」「ビュッフェではどのような皿を準備すれば、客が皿に無駄に盛り付けてしまうことを防げるか」などにまで関係しています。
『認知心理学』の授業では単に教科書的な知識を学ぶのではなく、このような日常生活への応用例を考えながら、また受講生自身が自分の認識の「癖」を実験で体感しながら、そしてときにはサルなどの動物と認知機能を勝負しながら(?)、ヒトの認知の特性について理解を深めています。
(担当:分部)