学科 Today

2016.07.26

心理学科

教員の研究紹介

 私が専門的に研究している対象は、記憶です。多くの人は、昨夜自分が何を食べたのかを労せずに思い出せると思います。では、昨日の夕食がパスタであったとして、なぜ私たちは「パスタの彩り」「ワインの赤さ」「部屋の暗さ」「周りの人たちの表情」などの当時の状況をありありと思い出すことができるのでしょうか?もちろん、「思い出そう」と意識することで思い出せるわけですが、「思い出そう」としている最中に脳の中ではどのようなことが起きているのでしょうか?
 「思い出す」ということは「意識下にあった情報を意識に上げる」ことですので、この問題は意識について考える良い契機になります。しかし、記憶の重要性はそれにとどまりません。記憶の仕組みを知ることは、実は「どうすればテストのときに解法に気づけるのか」「どうすれば記憶力を上げることができるのか」「どうすれば恐怖体験を忘れることができるのか」などについて、極めて有益な情報を提供してくれます。これらの重要な問題を解き明かす糸口が少しでも得られるよう、研究を進めていきたいと考えています。
(担当:分部)
 
s_today160726.jpg