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2016.01.14

国際キャリア学科

グローバルキャリア発見の旅19(鹿児島県企画部世界文化遺産総括監 田中完 様)

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鹿児島県企画部 世界文化遺産総括監 田中 完様からの応援メッセージ


kc_20150114_01.jpg今回は鹿児島県庁で、昨年7月、世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」に関する業務に携わられている田中完様にインタビューしました。
国際キャリア学科では田中様をはじめ、国際ビジネスやそれを支援する公的業務の第一線で活躍されている方々に講義やフィールドワークなどでご協力をいただく予定です。
 



Q:田中様の現在のお仕事についてお教えください。

A:「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録に向けた業務に2006年度から通算でほぼ8年間、携わってきました。昨年7月に登録されてからは、国や関係自治体と連携しながら遺産の計画的な管理保全や活用、理解促進・情報発信の取組などの業務に携わっています。

Q:「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録までの取組について教えていただけますか。

A:2005年に英国の産業遺産分野の世界的権威である故スチュアート・スミス先生から鹿児島県の伊藤知事に「鹿児島をはじめとする九州地域には日本の近代化に貢献した貴重な遺産が数多くあり、これらの遺産をセットにして、九州ワイドでストーリーを作れば、世界文化遺産登録の可能性がある」との助言をいただいたことが契機になりました。

これを受けて同年7月にスミス先生をはじめ国内外の専門家を招いて「九州近代化産業遺産シンポジウム」を鹿児島県主催で開催し、「九州近代化産業遺産の保存・活用に向けたかごしま宣言」を採択。以後、伊藤知事のイニシアティブのもと取組が進み、2006年には九州地方知事会の各県共同の取組がスタートしました。

2008年には世界遺産暫定一覧表への追加記載決定を受けて、九州・山口の関係自治体(6県11市、現在は8県11市)による世界遺産登録推進協議会が設置され、関係自治体による本格的な取組が始まりました。取組の初期の段階では、私も関係自治体を回って説明や調整に当たったほか、協議会設置以降は英国やオーストラリア、カナダ、インド、中国などの海外専門家を含む専門家委員会の開催などの業務にも携わりました。

Q:昨年7月に世界文化遺産への登録が決まった時はどうでしたか。

A:その日、私も伊藤知事とともにドイツのボンで開催されていた世界遺産委員会の審議に立ち会っていました。登録が決まった時は十年にわたる取組に関わった方々の顔が走馬灯のように思い浮かび、感謝の気持ちでいっぱいでした。

Q:田中様のこれまでのお仕事についてお教えください。

A:1984年度に鹿児島県庁に入庁して、初任地の鹿屋では県税関係の仕事をしながら、大学時代にESSに所属して国際交流に関心があったことから、在日留学生に約2週間、鹿児島の農漁村でのホームステイを体験してもらう「からいも交流」にボランティアで携わりました。
1997年度からは地方公共団体等の海外活動支援などを行っている自治体国際化協会(CLAIR)に派遣され、1998年度から2年間はシンガポールに勤務しました。帰国後は国際交流課での仕事のほか、さきにお話したとおり2006年度からは世界文化遺産登録に関わる仕事に従事してきました。

Q:県庁のような公的なお仕事、特にそのなかで国際的な業務に携わるにはどのような資質や能力が求められますか?

A:公務員の仕事は法律に基づいて組織で行う業務ですので、まずは真面目でルールを守り、そしてチームワークができることが必要だと思います。一方、近年、グローバル化の進展とともに、国内では地方分権が進み、地域主導による地方創生が重要な政策テーマになってきています。こうした中、地方公務員にも創造性や個性の発揮が今まで以上に求められるようになってきています。国際的な業務に携わるには価値観の違いを認め合い、それを受け入れる柔軟性と、思い切りよくコミュニケーションを楽しむぐらいの積極性が必要かと思います。

Q:大学生、高校生へのメッセージをお願いします。

A:国際的な仕事に従事するためには、やはり日本人としてのアイデンテティを涵養することが大切です。在学中に積極的に留学やホームステイ、各種交流事業に参加するようにしてください。一度、海外に出ると、自分のこと、そして日本のことを外から見ることができます。また、私自身が世界文化遺産登録に携わってきた経験などからも、温故知新、すなわち現代の日本を築いてきた人たちの生きざまを知ることも大切だと思います。

地域活動に参加することもお勧めします。私も経験しましたが、地域の伝統行事やイベント、特産品開発などに積極的に参加することで、仕事を始めてから必要になる企画立案・調整能力やコミュニケーション能力を養うことができます。地域にいても世界とつながる仕事が増えており、人材が求められています。ぜひ頑張ってください。

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職場での田中総括監
(鹿児島県世界文化遺産課では女性スタッフの方が活躍されています。)