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2015.11.04

国際キャリア学科

学生の活躍:福岡県「グローバル・ステージ」団員としてボリビアを訪問したN.Kさんからの報告

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国際キャリア学科1年生のN.Kさん(福岡県立城南高等学校出身)が福岡県の海外青年派遣事業「グローバル・ステージ」の最年少団員として選ばれ、この夏に社会人や九州大学などからの団員とともにボリビアを訪問しました。以下ではN.Kさんからの報告を紹介します。

「グローバル・ステージ」に参加して

国際キャリア学科1年 N.K

今回、私は福岡県の海外青年派遣事業「グローバル・ステージ」の団員として8月17日から27日までの10日間、ボリビアのサンファンとラパスを訪れました。「グローバル・ステージ」は、福岡県の青年を福岡県人会のある海外に派遣し、世界に挑んだ県出身の先人の足跡を学ぶとともに、現地の政治・経済情勢やビジネス事情等を理解し、人的ネットワークを築くことを目的に昨年度から始まりました。

まず、ボリビアに発つ前にそれぞれで目標を立てたり、ボリビアについての予習をしたりしました。私を含めて5人が書類選考と面接を経て、選出され、お互いに情報を共有しました。
しかし、ボリビアに行くというのは、全くと言って良い程、想像できない土地に行くことでした。ラパスはインターネットやテレビで情報を得ることができたため、先住民系の国民が多いことや標高3000m以上の高山にあることなどは知ることができました。
一方、サンファンというところはほとんど何もわからない状態でした。一人当たりの耕地の数字を聞いても規模が大きすぎて想像すらできませんでした。また、他の中南米諸国と違って日本語が通じるとも知らされ、どの様な地域なのか謎は深まるばかりでした。

ボリビアに行くというのは日本の反対側の国に行くということです。初めての長時間飛行、初めてのアメリカ大陸でした。最初は浮かれていましたが、すぐに精神的、体力的に疲労がやってきました。日本での当たり前が全然通用しないことや、10時間ほど空港に足止め、スペイン語で話されてあたふたするなど、余裕を持った気持ちになることはありませんでした。
サンタクルスの空港に着いたのは現地時間の夜11時半ごろでしたが、遠くの方で肌がすっかり日に焼けた日系人の方が数名、私たちを呼んでいました。日本語が聞こえたこと、夜遅くにも関わらず迎えに来てくださったことにとても感動し、疲労などすっかり忘れていました。

サンファンという地域は1955年に正式に日本政府とボリビア政府が移住協定を結んだところです。日本政府は農業移住者を募集し、88名の方が最初の移住者として70日以上かけてたどり着きました。
長旅を終えて彼らが見たのはただの手付かずのジャングルだったそうです。広大に広がる平地が水はけを悪くし、湿気や大量の蚊の発生など農業どころか生きていくのも必死だったそうです。
行く前の資料で内容は予習していましたが、実際に体験された方から聞くのは非常に興味深いものでした。現在は米、マカダミア、マンゴー、ミカン、養鶏、肉牛などをとてつもなく広い敷地で生産しており、サンファン産のものはボリビア国内で評価が高く、とてもおいしいものばかりでした。

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また、今年は入植60周年ということで、記念式典にも参加しました。
このような日本式の記念碑をボリビアという異国の地で見るのはとても不思議な心地でした。
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私は現在、グローバル社会に適応するために様々なことを学んでいます。しかし、海外で生きて成功してきた、グローバル人材の先駆者である日系人のことは皆無と言って良いほどに知りませんでした。彼ら日系人がやってきたことは何も特別なことではなく、今の日本人が忘れてしまいかけている「忍耐強さ」を60年経った今でも常に忘れていないことです。
ボリビアというところで大切な「日本」を見ました。グローバル化が進む今だからこそ日系人にスポットを当てて、彼らから学べることがもっとたくさんあるのではないかと思いました。

また、もう一つ大切なことを学びました。それは先入観や無知は最も恐ろしいことだということです。ボリビアと言われて、良い印象を真っ先に思い浮かべられる日本人が、果たしてどのくらいいるのでしょうか。ボリビアで日系人が素晴らしい開拓を遂げていることをどれくらいの人が知っているのでしょうか。そして、今、当たり前に目の前で起きている何気ない日本での日常がどれくらい幸せなのか、理解している人はどのくらいいるのでしょうか。
ボリビアは決して危ないところではありません。人柄も陽気な人ばかりです。時間の捉え方や根本的な考え方などは文化が違っているため、日本人には理解し難いことも当然あります。しかし、場所がわからないからといって言葉も通じないのに車からわざわざ降りて走り回って探してくれたタクシーの運転手さんや遠い日本から来た私達を誠心誠意おもてなししてくださった日系の方々など、予想していた以上に素晴らしい出会いがありました。
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ボリビア大使館にお邪魔したときに聞いた言葉があります。「泣きながら来て、泣きながら帰る」。これはボリビアに来るときの辛い長時間移動や、南米というあまり良いイメージのない所に行く恐怖で泣き、帰る頃にはボリビアのことが大好きになってしまい泣きながら帰るという、どれだけボリビアが魅力的な国かを表現した言葉です。これを聞いて、まさに私のことだと思いました。それほど、素晴らしい国なのです。
  
今後、日系人についてもう少し調べていこうと思っています。そして、この体験で得た考え方を大事にしていこうと思います。経験というのはどれだけ語っても、その人だけのものです。この素晴らしいボリビアという国をもっとたくさんの人に経験してほしいと思います。そのために、これからもずっとボリビアの魅力を伝えていきたいです。
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