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2015.03.05

国際キャリア学科

グローバルキャリア発見の旅16(HITOYOSHI株式会社取締役工場長 竹長一幸様)

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国際キャリア学科(ICD)のこのコーナーでは毎回、国際ビジネスや国際協力など、世界とつながる様々な分野で活躍されている方々をお招きしてお話を伺います。

今回は高品質のシャツを生産し、ファッション業界で注目されているHITOYOSHI株式会社(本社:熊本県人吉)の竹長一幸取締役工場長にインタビューします。

HITOYOSHI株式会社取締役工場長 竹長一幸様

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 Q:御社のお仕事についてご紹介ください。

 A:当社は100%天然素材のシャツを製造しています。生地には綿100%を、ボタンも貝ボタンを使用しています。現在、自社ブランドの製品は約50のデパートやセレクト・ショップで取り扱われています。そのほか約80のブランドのシャツをOEM生産(*1)しています。
  


 

Q:竹長工場長のこれまでのお仕事について教えてください。

A:私は卒業後、老舗の大手シャツ・メーカーであるトミヤアパレルに就職し、大分工場の設備保全の仕事からスタートしました。入社3年目に人吉工場の立ち上げに携わることになり、設備の計画、据え付けから人材の確保、教育まで幅広い業務を担当しました。生産が軌道に乗るまでの数年間はとても忙しくて、工場内に段ボールを敷いて寝泊まりしたこともありました。
2009年にトミヤアパレルの経営が行き詰り、事業を分割して、採算部門を再建することになりました。ベトナムやミャンマーにあった工場は大手商社に売却されましたが、国内の工場は買い手がつかず、岩手と大分の工場は閉鎖されます。人吉工場については2009年に現社長と私が中心になり、福岡のファンドなどの協力を得てMBO(*2)で再生し、生産を再開しました。
当初はOEM100%からスタートし、事業の継続のため、他社がやろうとしない小口の注文や難しい加工も含めてあらゆる仕事をしました。そのうち徐々に取引先が増えていき、2011年に阪急百貨店から有楽町のメンズ・ファッション専門館「阪急メンズ・トーキョー」の開業にあわせて自社ブランドでの生産を勧められたことが転機となりました。当初は白だけの300枚のシャツからスタートしましたが、幸い製品が評価されるようになり、現在では阪急百貨店の有楽町、梅田、博多の3店舗で毎月約800枚が販売されるようになりました。昨年からは香港向けに輸出も始めました。
 

Q:アパレル・メーカーで働くにはどのような資質や能力が求められますか?

A:生産部門では常にどうしたら効率よく生産できるかを考えている人、無駄なく動ける人が伸びていきます。企画部門は少し違います。当社の場合、東京にある企画部門の社員はイタリアで開催される世界最大のメンズ・ファッション見本市ピッティ・ウオモなどでトレンドを把握して、百貨店に企画を提案しています。こうした仕事に携わるには製品知識やサイズ感も必要ですが、何と言ってもセンスが大事です。
 

Q:大学生、高校生へのメッセージをお願いします。

A:就職する際にはしっかりと企業を吟味して、長く働ける企業を選ぶことをお勧めします。そのためには、給与面だけでなく、社会保障や社風を確認することが大事です。働き始めたら仕事と趣味を両立するように努めた方がいいと思います。私もいろいろなスポーツをしていますが、仕事以外の人脈が広がり、発想の幅も広がります。
 

Q:最後に竹長工場長の夢をお聞かせください。

A:現在、日本で流通している衣料品のうち日本製はわずか4%です。高品質のシャツを生産し、Made in Japanを少しでも増やしていきたいと思っています。そして、2020年の東京オリンピックで来日する外国人の方に日本製の衣料品の良さを体感してもらえればと思っています。そのためにも当社には若い人に入ってきてもらい、シャツづくりを学び、なるべく長く勤めてもらいたいと思っています。
 

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*1.OEM(Original Equipment Manufacturer、相手先ブランド製造)とは、発注元企業の名義やブランド名で販売される製品を製造すること。
*2.MBO(Management Buyout、経営陣買収)とは、会社の経営陣が金融支援を受けることによって自社の株式や事業部門を買収することで、オーナー経営者として独立する手法。