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2015.03.02

言語芸術学科

「百読百鑑」レビュー ダニエル・デフォー『ロビンソン・クルーソー』 by ゆいのすけ

百読百鑑」レビュー ダニエル・デフォー『ロビンソン・クルーソー』 by ゆいのすけ

 この作品はイギリスの小説家ダニエル・デフォーの代表的な作品の一つで、ロビンソン・クルーソーという人物の生涯を描いた物語である。
 ロビンソン・クルーソーは架空の人物だが、実際に無人島で生活したスコットランドの航海長アレキサンダー・セルカークの実話を基にしたといわれている。
 最初はロビンソンが海に飛び出すという強い思いを抱いてる場面から描かれている。そんな息子の思いに気付いた父は、ある日ロビンソンを部屋へ呼び出し、「生まれたこの土地でこのまま暮せば十分にコネもある上、懸命に努力すれば一財産をつくって安らかで楽しい人生を送る見込みだってある。きみの境遇は社会の中くらい、上流ではないがこれは人として幸福に一番近い境遇だ。肉体労働をおこなう人たちの惨めさとつらさ、汗と苦痛から護られ上流の人たちの驕り、贅沢、野心や嫉妬に悩まされることもない。国王のように責任の重い地位に生まれたせいでひどい目に遭っていると嘆き、卑しい人びとと高貴な人びとの中間に身を置くことができたらと願うこともない。中くらいの境遇を選ぶことで、あらゆる面から健全で愉快な暮らしが約束される。」と愛情をこめた口調で考えを改めようとした。しかしロビンソンはほんの三日ほどで決意が鈍り二、三週間後には家を出ることを心にきめていた。そんなある日港町へ遊びに出かけ遊び仲間の一人に誘われ船に乗った。
 ここからロビンソンのさまざまな困難や不運がはじまった。
 自然との戦い、奴隷生活、脱出、異国での生活そして船の難破により無人島に一人流されてしまう。そして自分だけの力で生活をきづいてゆく。この無人島には時々近くの島の住人が上陸していて、住人達はこの無人島で捕虜の処刑や食人をおこなっていた。その捕虜の一人が後々忠実な従僕となったフライディである。
 フライディとともに島で28年間過ごすことになる。ロビンソンは挫折することなく懸命に生きてゆく姿が描かれていた。
 私はこの物語を読んで最初のロビンソンの父の言葉から感心させられることがおおかった。中くらいの境遇、つまり日常的な平凡な生活がどれだけ幸せなことなのかを凄く実感したからだ。だからもっと大切にしていこうと改めて気づかされた作品である。この作品はまた何度も繰り返し読み返して新たな発見をしていきたい。