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2014.12.25

言語芸術学科

授業紹介:卒業論文は3年次で完成させます。

 言語芸術学科では、3年次の『言語芸術演習Ⅰ・Ⅱ』において卒業論文を書き上げなければなりません。4年次の『言語芸術研究Ⅰ・Ⅱ』では、その論文の内容をさらになんらかの形にして、外部へ発信することが要求されます。本を出版する、演劇で上演する、電子媒体を使って全世界へ発信する、などが考えられるでしょう。
 そんなわけで、我がゼミ生(2年生)も、のんびり構えているわけにもいきませんから、本年度のゼミの締めくくりとして、先日、卒業論文の中間発表の時間を持ちました。
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 各ゼミ生の現在取り組もうとしている題材の一部を紹介いたします(今回はとりあえず、3名)。途中経過ですから、今後方針の変更もあるでしょうけれど。
 
YSさん 
 漫画『ピーナツ(スヌーピー)』全作品の分析。約50年続いた漫画ですから、読むべき英語の量たるや膨大なものになります。また、単に漫画として捉えるだけでは不十分な分析にもなるでしょう。現に、この漫画のキャラクターの心理学的分析なども存在しますから。登るべき山は大きいです。
 しかし、分析資料が多いというのは、ある意味ラッキーかもしれません。すでに、なんらかのパターンが見えてきているようでした。YSさんによれば、セリフの量や、コマ割りなどに年代的な特徴があるようです。また、作品の中で成長するキャラクターに目を向けると、おもしろいこともありそうです。
 
MYさん
 夏目漱石の『こころ』の分析。ちょうど100年前に書かれたこの小説に文体論のメスをいれようという試みです。MYさんは現在、語りの問題に興味があるようです。『こころ』には複数の語り手が存在します。このような小説では、ある人物をどのように呼ぶのかを詳細に見ることが、キャラクター同士の心情や場面の理解につながります。
 漱石は英語(特に読み書き)の達人でした。彼の小説には、きっと英語による小説の手法の影響もあるでしょう。MYさんの研究がそういった点にまで広がるといいなと思います。
 
ANさん
 オスカーワイルドの短編"The Happy Prince" (1888)(『幸福な王子』)を、日本語の訳本と比較しながら、朗読というポイントから分析しようという試みです。英語と日本語では、意味だけでなく、文章のリズム、文章自体が強調している語の配置などが違います。例えば、ニュートラルな場面において、Tom loves Mary.といった場合と、Mary is loved by Tom.と言った場合では、意味上の核が違うので(通常文末の内容語に核があります)二つの文はイコール関係にはありません。ANさんの分析には、こういった音声学の理論も必要になってきますね。
 ANさんは最終的に、原文になるべく近い、読みやすい、また、聴きやすい日本語訳本の制作を試みたいとのこと。がんばりましょう!
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(SKさん手作りのプリンをいただきながらの発表会でした)
 
言語芸術学科は、言語芸術作品(文学や映画)を【教材】として使いながら、言語(日本語・英語)能力と思考力を徹底的に鍛え、何事にも臨機応変に対応できる逞しい人材を育てることを【教育目標】においているリベラルアーツ系の学科です。【教材】と【教育目標】をリンクさせる【教育手段】として、フィールドワークなどの実践科目を豊富に備えています。