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2022.08.02

国際キャリア学科

(授業紹介)「Junior SeminarⅠ」(3年次前期ゼミ、中東・北アフリカ地域研究、山口ゼミ7期生)①

国際キャリア学科(ICD)では、3年次から国際政治経済・地域研究、国際協力、英語学・異文化コミュニケーション、経営・ビジネスの各専門分野のゼミ・クラスに分かれ、専門科目を重点的に学びます。
 
このうち、中東・北アフリカ地域を中心に国際政治経済について学ぶ山口ゼミでは、3年次前期、近年、世界を揺るがせてきた「イスラーム国」(IS)が生まれてきた要因や背景について、春休みに指定した『現代中東の国家・権力・政治』(ロジャー・オーウェン著、明石書店)や『「イスラーム国」の脅威とイラク』(吉岡明子/山尾大編、岩波書店)などの文献を輪読したうえで、4つのグループに分かれて討議し、その結果を発表しました。

グループ発表では「イスラーム国」が生まれてきた要因を2003年のイラク戦争と「パクス・アメリカーナの時代における外交政策の最悪の失敗」(ジョセフ・S・ナイ*)とも評される戦後の米国による占領統治の混迷、2011年にチュニジアで始まり多くのアラブ諸国に波及した政治的変動「アラブの春」とその後のシリア内戦など、直近の紛争に求める意見から、1970年代末のソ連侵攻に始まるアフガニスタン紛争とイラン革命に起源を求める意見、第一次世界大戦後の戦勝国である英国、フランス主導のオスマン帝国のアラブ領土の分割など域外の大国の介入に起源を求める意見、さらには7世紀のイスラーム教の成立期から続くスンナ派とシーア派の対立に起源を求める意見など、各グループとも関連する様々なことを深く調べており、それぞれに深く考察してきたことがうかがわれる内容となっていました。

*ジョセフ・S・ナイ著、山中朝晶訳『国家にモラルはあるか?』(2021年、早川書房)p232

以下では「イスラーム国」が生まれてきた要因や背景についての発表を終えた3年ゼミ生の感想を二回に分けてご紹介します。

M.Nさん(福岡県立筑前高等学校出身)

ゼミでの研究を通して、人間的にも知識面でも成長できたと実感しています。グループで研究することで過去の様々な出来事がどのように影響しあっているのかについていろいろな意見を出しあい、広い視野で物事を考えることができました。役割分担をすることで効率化を図る一方で、進捗状況の共有を行うことでチームワークを高めることもできました。研究を通して、イスラーム教を信仰する人が多い中東・北アフリカ地域についての知識を大いに身につけることができました。春休みに作った課題レポートを見返すと、表面的な事柄ばかりで知識が浅く、リサーチ力も不十分だったことが分かります。今では授業時間外でも中東・北アフリカ地域が抱える課題を解決する策はないものかと考えるようになりました。前期はありがとうございました。後期ではもっと学びを深めたいと思っております。

R.Fさん(福岡県立糸島高等学校出身)

前期は「イスラーム国が生まれた要因」について、グループで研究し、発表しました。主に、イラク、イラン、アフガニスタンの1970年代以降の歩みをたどりながら考察しました。深堀りしていくうちに、混乱する時もありましたが、グループで協議をしていくことで、徐々にそれぞれの出来事がつながっていき、頭の中が整理されていきました。発表では、私たちが考える要因についてしっかりと説明ができたと思います。他のグループの発表では、パワーポイントを使用したり、プリントを配布したりと、発表の仕方も様々で、内容も様々な視点から考えていて、新たな発見がたくさんありました。今後も中東・北アフリカ地域について研究を続け、理解を深めていきたいと思います。

Y.Fさん(福岡県立香住丘高等学校出身)

前期のゼミでは、「イスラーム国」が生まれてきた要因をグループで調べて、発表しました。直接的な要因とされているイラク戦争だけではなく、MENA諸国の高い若年層の失業率やSNSの普及率向上など、様々なことが複雑に入り混じって、「イスラーム国」ができたことがわかりました。初めのうちはとても難しいと感じましたが、グループのメンバーそれぞれが調べてきたことを持ち寄り、最終的には考えをまとめることができました。他のグループのプレゼンテーションはそれぞれ着眼点が異なり、学ぶことがたくさんありました。後期では、工夫して、より聞き手が理解しやすいプレゼンテーションに努めたいと思います。

Y.Nさん(福岡県立香住丘高等学校出身)

「イスラーム国が生まれてきた要因」の研究を通じて、中東・北アフリカ地域がなぜ今のような状態になってしまったのか、理解を深めることができました。もともと「イスラーム国」について関心がありましたが、どんな要因や歴史があって、そうした組織が生まれてきたのかよく知りませんでした。しかし、グループでの話し合いや、他グループの発表を聞いて、過去の一つ一つの出来事が相互に関連しながら今の状態に繋がっていることを知り、簡単には解決できない問題だなと改めて思い知らされました。これからさらに世界の問題や社会問題に対し関心を持ち、自分にはどんなことができるか考えながら、生活していきたいと思います。

A.Oさん(福岡県立香住丘高等学校出身)

研究を通して中東や欧米で暮らすイスラーム教徒の若者が高い失業率や将来に対する閉塞感など国や社会の現状に対する不満から「イスラーム国」に参加したということを知り、問題の深刻さを実感しました。後期では地域における経済活動の中心になってきた国を取り上げ、勉強していくという、前期とは少し異なる試みが待っており、今から楽しみです。

A.Tさん(福岡県立筑紫高等学校出身)

「イスラーム国」ができた要因について調べることを通して、中東・北アフリカ地域で起こった様々な戦争や紛争、政変、テロについて詳しく学ぶことができました。私は高校生の時、世界史専攻だったので、何となく過去の事件の概要は分かっていても、要因や相互の関連については理解していませんでした。しかし、グループで協議したり、先生からのレクチャーを受けるなかでより深く考察することができました。他のグループの発表は自分たちが調べてこなかったことに焦点を当てていたり、地図を使ってよりわかりやすい発表をしていたりと、それぞれ工夫がされていて、そこからも新しい学びがありました。

Y.Sさん(九州産業大学付属九州高等学校出身)

グループ研究を通して、自分一人では気づかなかった新しい見方や考え方を知ることができました。発表ではそれぞれのグループが異なる角度から「イスラーム国」が生まれてきた要因を考えていて、とても興味深かったです。歴史的な背景を詳しく調べていくうちに、過去に起きた戦争や革命はもちろん、時代を動かした思想やイデオロギーも大きな要因であることが分かりました。中東・北アフリカ地域が抱える問題の複雑さを改めて感じました。後期のゼミでは、さらに学びを深めていけるように頑張ります。

M.Oさん(福岡女学院高等学校出身)

私は前期ゼミで「イスラーム国ができた要因」についてグループで研究したことによって、9.11同時多発テロだけでなく、イラン革命やイラン・イラク戦争、湾岸戦争、イラク戦争、アフガニスタン紛争など多くの事を調べ、学ぶことができました。私は今まで日本史しかとったことがなく、世界史や地理などはとても苦手でしたが、先生が配布して下さった資料を読みがら学ぶことで、少しではありますが自身の成長を感じました。