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よくあるご質問

看護大学に対するご質問と、それに対するお答え(2016年9月14日)

 

保護者の方々、学生さん、あるいは一般の方々から看護大学について様々なご質問を頂きます。ここでは、福岡女学院看護大学としての考え方を含め、おたずねの多いご質問にお答えしたいと思います。ご参考にしていただければ幸いです。

 

1.輩出する看護師さんは、大学病院志向なのでしょうか?

福岡女学院看護大学(以下本大学)としては、大学病院を勧めるということはしていません。ただし、学生時代の臨地実習先の中から就職先を選ぶ傾向は強くなってきています。本大学は、国立病院機構との連携によって設立された経緯から、国立病院機構や大学病院を中心に臨地実習先を選びました。結果的として、勤務先としては、国立病院機構や大学病院が中心になっています。

ただ、一般的に見て、社会の一般的なランク付けや保護者の方の希望が、学生さんの就職先選びに影響しているのは事実でしょう。

 

2.大学病院の看護師と、その他の病院の看護師では違いがあるのでしょうか?

大学病院と中核病院あるいは小規模病院とでは、そもそも社会における役割が異なっています。大学病院は教育施設としてのスタッフや施設、先進医療施設としてのスタッフ、設備が整っており、看護師の基本的なマナーや手技の初期研修に適しています。特に、スタッフが豊富なため、他の場では研修が難しい高度なチーム医療や多職種連携を学ぶことができます。さらに、大学には修士や博士号を持った方が多く、卒後の教育が重視されており、大学病院勤務中に、大学院や専門資格取得を目指すことができ、長い目で見たキャリア形成のチャンスが高くなります。

一方、医学部卒業生も同様ですが、大学病院より中核病院の方が、国家試験に合格したばかりの医師や看護師が直接患者さんに接する機会が多く、短期間での技術習得には適している面があると考える人が増えてきています。実際、大学病院からクリニック、在宅医療に及ぶ全ての領域に質の高い看護師・保健師がいきわたることが重要であり、それぞれの役割を見極めて自分にあった場を選ぶことが大切です。とはいえ、できれば、長い看護師人生において一度は大学病院や中核病院の門をくぐってみることをお勧めします。

 

3.看護研究をしたい学生の割合にはどの程度でしょうか?学生はどのようにして看護研究に対して興味を持つようになるのでしょうか? 

大学によりその割合は大きく違ってきます。大学院を持っていれば自ずと割合は高くなってきます。本大学は現時点では大学院は持っておりませんが、それでも他大学院へ進学する人はゆっくりと増えてきています。具体的には、2014年度は2名、2015年度は4名が大学院等に進学しました。

私は外科医ですが、私の理想はアカデミック・サージャン(研究志向のある外科医)です。看護では、アカデミック・ナース(研究志向のある看護師)ということになるでしょか。つまり、将来看護研究に専念する専門研究者とは少々異なりますが、本学では、研究の役割を理解し、研究マインドと研究能力を合わせ持った看護師を育成したいと思っています。そのため、在学時代に文献レビューが学習課題として用意されています。また、教員の研究マインドに接するために、担当教員によるグループゼミ等を積極的に行うようにしています。将来的には、研究に対するアーリーエクスポージャー(早期体験)として、教員とともに国内・国外での学会参加をカリキュラムに組み込む事なども考えています。

学生さん自体が看護研究へ関心を持つようになるのは、臨地実習先で患者さんやスタッフとの関わりの中で生まれているようです。いわゆる、問題(この患者さんは何故ベッドから離れようとしないのだろう等)との遭遇より、疑問を持つことから研究心が芽生えてくるということでしょうか。

 

4.保健師資格と看護師資格を両方持っている学生の進路は違うのでしょうか?

本大学は全員両方の資格を取得する教育を4年間続けてきました。ところが、福岡県には看護師・保健師を養成する学校が他県に比べ多く、逆に保健師育成の実習の場が不足するようになってきています。そのため、県の方針で福岡県の看護大学では、最大18名しか保健師を育成できないような仕組みに変わりました。保健師としての具体的な職場は、市町村や県の行政機関への就職、あるいは産業医や養護教諭、さらには訪問看護への道も開かれつつあります。今後、働く場は多くなると予想されます。もう一つの特徴は、看護師として働いた後、数年して保健師として働く人も増えてきています。

 

5.助産師資格はどうやって得ることができるのでしょう?資格を持つと進路はどうなるのでしょう?

取得するためには、大学院で2年間助産師資格に取り組む、大学や短大あるいは専門学校の助産師課程に進学する2つの方法があります。臨床の場としては、産科医療機関の助産師、行政機関に勤務し地域母子保健活動に取り組む、開業助産師などがあります。研究の場としては、大学などの教員あるいは研究者などの道です。また、海外にも働く場は開かれています。

 

6.3年でも看護資格がとれるのに4年制大学を目指す意義は何でしょうか?

最大の意義は、社会人としての幅広い教養、さらには看護師・保健師としての教養を学ぶ時間が1年プラスされているということです。具体的には、本大学では、教養科目の外に、建学の理念や看護の基本的教育方針であるヒューマンケアリング(看護を通して、患者さんとともに、看護者自身も成長する。看護とはこのようなものです)などについて学びます。さらには、自分と向かい合うための、チャペルの時間など人間力を養う場を設定しています。

さらには、大学の教員は厳しい審査を受けて採用されます。つまり、研究や教育能力の高い教員を備えることができます。学生さんはこれら客観的評価を受けた教員により授業や臨床実習を受けると共に、これら教員の日常を目にして生活することになります。自然と、大学院進学を希望するなど、目指す看護者の理想像が高まることにもつながります。2年間かけて、基礎教養や看護の基礎を学び、準備状況の整った状態で臨地実習を学ぶことになり、当然、臨地実習の効果も上がります。

また、研究志向の強い教員が集まっていることで、研究設備や教育設備が年々充実してゆくのも大学の特徴の一つだと思います。具体的には、本大学も今年9月に実務に即した実践的な看護訓練が可能な九州最大規模の「看護シミュレーションセンター(AI Sim)」が完成しました。

学生さんにとっては、実際に臨地実習に出向くまでに、本当に看護師や保健師に向いているのか自問自答する2年間の準備期間があるのです。結果的に、在学中に、進路を変更することも可能になります。長い人生から見れば、これは非常に大切なことです。 

 

7.私立の看護大学の学費の問題はどのように考えればよいのでしょうか?

私立の看護大学は、各大学の考え(どのような人材を育成するかといった方針)に沿った教育を行う自由度が高いという大きな特徴を持っています。一方、国からの補助金(運営交付金といいます)の支給が国公立の看護大学に比べ少ないために、授業料は高くなっています。したがって、多くの私立の看護大学では、日本学生支援機構の奨学金や大学独自の奨学金を利用している人が多く、本校でも約6割の学生が何らかの奨学金を受けています。奨学金を受ける理由は大きく二つあります。一つは、看護大学のカリキュラムは実習が必須なので、授業が非常に詰まっていてアルバイトの時間作りが容易ではないということです。二つ目は、他の学部の大学生とやや異なり、就職後に自分で返済できる点です。本大学では、特に一つ目の理由で上手に奨学金を活用することを勧めています。

 

8.18歳で進路を決めてしまう点に問題はないでしょうか?

看護職という社会保障の領域で働くには、自己犠牲やボランティアの心が重要になってきます。心というのは、教育で育むことも可能であり、そのために我々はヒューマンケアリングという概念を前面に打ち出して教育しています。一方、生まれながらにそのような気質を持っている人もいます。このような人は、18歳で進路を決定することに問題ないと考えます。自分が看護職に適しているかどうかを見極めるための時間が長い看護大学(4年間)では、進路変更のチャンスがあり、18歳で決めてしまうという問題はやや少ないと思います。ただ、問題は、誰が進学先を決めたかという点です。最近では、社会的貢献の高さに加え、少子高齢化や経済悪化という問題から、親御さんが看護大学を進めるという傾向もみられます。学生さん自身がそれを了解している場合は良いのですが、親御さんのご意向が強い場合、18歳で進路を決定することに問題が生じるケースもあると思います。進路決定は良く周囲と話し合い、最終的には自身で決定することが大切です。

 

9.看護職を女性のキャリアからみた時のメリットは何でしょうか?

国家資格であり、他の職種より自立した人生設計が描きやすいと思います。また、再就職や転職(病院、学校、会社、行政など)という点からも他の職種より選択の幅があります。女性の多い場であり、他の職種に比べ、キャリアを積むことも、そのキャリアを十分生かすこともできます。例えば、医療機関では看護部長や看護師長の多くは女性です。教育現場でも、教授の多くは女性です。この点は、他の職種と逆ですが、今後は男性も進出してくると思います。

また、看護の知識を身に付けることで、基本的な人間力を養うことができます。このことは、社会貢献度が高まるだけでなく、自身の生活の質も高めてくれると思います。

 

10.人工知能(AI)は看護の世界にどのように関わってくるでしょうか?

診断や看護方針の決定などに力を発揮してくると思います。最近のAIは感情をも併せ持ってきているのですが、優しさというより、合理的で自信に満ち支配的な面が全面にでてくる傾向にあるようです。したがって、個人的には危惧する面が多々あります。看護は、身体あるいは精神機能の落ちた患者さん(人)を相手にする職業ですので、寄り添うという感性が求められます。現時点で言えることは、「AIができること、人間ができること」という視点ではなく、「AIがすべきこと、人間がすべきこと」という視点から眺めてゆくことが大切だと思います。AIに支配されないように、「人間とは何か」といった基本的な人間力や教養を一層学ばねばならない時代が近づいているように感じます。

 

2016年9月14日   福岡女学院看護大学・学長   片野 光男